前々回のエントリーで冨永こよみのトスを見てびっくりした話に触れたのですが、今回はその1で書いた

相方が、『理屈はわからなくても目で見てはっきりわかる<速くて早くて高いトス≒ファーストテンポ>の見分け方』を発見した。

これについて書いていくことになります。



以前から『良いトスは放物線を描かない』ということを折に触れ主張してきておりました。



Vプレミアリーグ決勝から発展したついったーでの話がこれ。





『ボールの垂直落下率』とは、頂点を越えた後のボールは垂直落下率が高くなればなるほどアタッカーが打ちやすい(ブロックに対処しやすい/あれこれやりやすい)という考え方の最近の私の表記方法です。



その後5月に " target="_blank">バレーボール百科事典バレーペディアが発売されて、ついったーでは技術話もますます盛んに行われるようになりました。

エースを張ってきた経験のあるみなさんとついったーで「良いトス」について語る機会も増え、やはり接戦や負け試合で全てのトスが集まってくる修羅場の経験を持つ人は今のところ全員同様の意見を持っていることに意を強くしてきました。



逆に戦況の悪い試合を全てを背負った経験も無く、悪い状態から上がってくるトスや二段トスの中から「少しでも良いトス」を選んで①とりあえず返す②相手を崩しにいく③決めに行くの判断を常に迫られる経験というのを全く持たない人から見ると、「日本人は高さが無いから速さ」という思考停止の考え方が心地良いようで、このコメント欄のコメントのようなことを言ってくる。



私は身長175センチありませんが、バレーボールをしていて「高さの前に敗れた」ことはありません。

オープンを自由自在に打てることは最後の局面でエースに求められる基本条件なので練習は熱心にやっていましたが、速さも追求していました。



一期上の先輩セッターが超高速バレーの信奉者で、試合開始直後はだいたい本人のツーから入る。

試合開始早々、2回連続でツーなんてことも平気でやる。

続いてぶん殴り系の速攻や、頂点が存在せずそのまま壁に向かうような平行を上げる。



しかしそれは「高さが無いから」ではなくて、「対処できない速さを見せ付けることで動きの遅い大型チームをぎゃふんと言わせるため」です。

試合開始早々ってのが一番『自分たちのバレー』をやりやすいでしょ。

ファーストインパクトで試合のペースを掴んだら楽ちん。

我々の代になった次の年も、私の連続サービスエース狙いから試合をスタートしていました。



とにかくこの先輩、この当時全日本女子でセッターをやっていた中田久美よりも乱暴なトスを空中で待ち受けて打つために、多少タイミングが狂っても空中のどこかでトスとの接点を持つように助走ルートを変えつつ、助走スピードを上げる努力を続けたりもしてきました。

ああ、当然、今時の日本の女子選手に多く見られるような、助走の歩数を減らして間に合わせるなんていう間違った小手先のアプローチはしません。

高さとパワーを生み出すのが助走。これが無きゃ空中で何もできないじゃん。

アンテナ側ネット際より侵入する迂回ルートを成立させるために、ファーストステップと予備助走を2歩付け加えて成立するようにしていく。つまり3歩プラス。

球速が無茶苦茶速くて頂点も存在しないけれども、当時の中田久美と違ってトスの軌道は一定なので、空中で交差する一点で叩き込めれば全てマイナステンポの攻撃になる。



他人の嫌がる事を進んでやるのがバレーボール。

「これしか方法が無い」と自分から勝手に追い込まれた状態で思考停止しながらバレーボールをやっていて面白いか?

バレーボールほど発想次第で自由で面白くなるスポーツは他に無いぞ。



『ボールの垂直落下率』については全日本女子でもようやく竹下佳江が少し感じ取ったようで、この方向のサードテンポのトスが江畑や迫田の活躍に繋がりました。

そして木村沙織が大活躍だった要因もここにある。

木村沙織が進化したと見るよりも、竹下佳江がまともなトスを上げたと見ている。



逆に全日本男子ではこのあたりの理解が進まなかったようで、リベロの永野がリーグとは違うひどいトスを上げていたりした。

スポーツは『知・心・技・体』なんだよ。論理性の帰結。

全日本女子の真鍋監督が最近言い出した、『アタッカーが打てなくてもいいから速い二段トス』なんていうのも、永遠に結果が出ないことは賢いバレーボールファンならみんなわかっていること。



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当初のサマー決勝での観戦予定ではパイオニアの試合を見るつもりはなかったのですよね。

しかし初日に男子コートからパイオニアのスパイク練習を見ていて冨永こよみが素晴らしいトスを上げているのを見かけて、女子コート側に移動した。

そして二日目も日立リヴァーレとパイオニアレッドウィングスの試合をコートサイド側から見ることに。



試合前のパイオニアのスパイク練習をじっと見ていた相方は、突然大声を上げました。

ボールが止まる!



どういうことかと私も『ボールが止まる』という目線でパイオニアセッターの冨永こよみが上げるトスを見つめる。

なるほど。レフトに上げる平行気味の早いトスが、ボールの頂点で一瞬止まる。

つまり私の表現だとボールのアンテナ方向への運動エネルギーが失われて、失速して一気に垂直落下に移る瞬間、確かにボールが止まって見える



相方も " target="_blank">バレーボール百科事典バレーペディアは読み込んでいたけれども、「バレーどころかスポーツの経験も無いし、私には理解は無理」と言い放っていた『テンポ』の話。

しかし読みながら培っていた知的作業の経緯を経て、『良いトスはボールが止まって見える』という言葉を発見した。



ひとつの事が見えてくると一気にいろいろなものが見えてくるもので、「どうして」とさまざまな事例に疑問が湧きあがってきてはすぐに腑に落ちていく。

うるさいことうるさいこと。

でも思考の経緯によって突然何かが見えてくる快感っていうのはたまらないものですよね。

とても心地よかったようで、本人はこっそりブログを開始してまた見たもの感じたものを思考することをはじめました。

相方は一人でじっくりやりたいらしく、本人の希望でリンクは貼らないけれども。



『ボールが止まって見える』という表現の発見に私も興奮してついっとしたところ、こんな実証的データの返信がありました。

ええ、こんな返信をしてくれるのは、suis annex weBLOGのT.w氏。

こんな内容でした。

実際に、ボールが落ち始める直前直後、高さがわずか±5cm変わる間に0.2秒もかかります。RT @kaz10000: 行き足が止まって落下に移る瞬間、ボールが止まって見える。 #vabotter #volleyballJP



この止まった瞬間にスパイクを叩き込むのがファーストテンポ

落ち際の止まっているように見えている間にスパイクを叩き込むのがセカンドテンポ。

そして止まる前にスパイクを叩き込むのがマイナステンポ。



そしてこのいずれもアタッカーがスパイクを打つ打点は最高打点でフルスイング。

つまりアタッカーはトスが来るのを空中で間合いを作ってすでに待ち受けているようにも見えるはずです。



そして最高打点でしっかりと叩き込まれるからこそ、それを阻止しようとするブロックをきちんと完成させるためにはより素早い判断と迅速な移動ときちんとしたジャンプが求められる。

これこそが他人の嫌がることを進んですること。

バンチからのリードブロックでは『はやいサイド攻撃』に対処するには間に合わなくなって、スプレッドやデディケートにシフト変更したり、コミットさせたりすることに繋がる。

そうすると相手のブロックシステムに空白が生まれるので、他の攻撃が決まりだす。

しめしめ。



しめしめこそバレーボーラーのスピリッツ。自分から仕掛けて相手を嫌がらせる。



相方はバレーボール競技経験どころかスポーツ経験も無いながら、この言葉を生み出した。

ってぇことは、バレー経験が無い全ての人も、良いトスを見分けられるようになれるということ。

さぁ、今すぐ、お手持ちのバレーボールの試合の録画を見て、良いトスの見分け方を習得してみてください。



日本中のバレーファンが全日本の馬鹿な取り組みに『NO』を言えるようになれば、無駄な遠回りはしなくて済んで、強化がもっと短い時間でできるようになるはずです。


[Web全体に公開]
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【閲覧中】サマーリーグ決勝リーグに行ってきました。 その5 良いトスはボールが止まって見える
2010年09月22日  [Web全体に公開]
・日本バレーボール楽会in名古屋 明晩開催
2010年09月10日  [Web全体に公開]

1件のコメント


  1. byピース on 2010年9月22日 @17時26分

    こんにちは。



    次のリーグでは冨永選手を注目してみようと思います。彼女には期待しているので、良い状態が続けば全日本に呼ばれるでしょうか。











    全日本ですが、BチームはSが佐藤選手と宮下選手です。



    宮下選手はまだまだ体全体を使ってのトスでは無いかなと思いますが、佐藤選手は安心してみていられました。

    身長が高いんでクイック中心の組み立てが出来るし、それにより平行やコンビで相手ブロッカーか遅れています。





    竹下しかいない



    と言われながらも、きちんと身長があるセッターを育成しているので一度佐藤選手を控えでも呼んで欲しいです。





    そして、一気にプレミアではなく、大学進学という選択も増えて欲しいです。

    狩野選手が引退時に語っていたかな。







    あとリベロ。

    井上選手はトスが素晴らしいですね。

    ライン際のジャンプトスも、チャンスボールはオーバーパスは当たり前。







    今から始めたようなトスではなく、トスが得意な彼女は早く全日本へと期待します。

    チームにはリベロがいないんで難しいとは思いますが、彼女を見習う意味でもリベロをチームが補強して、全日本での近代バレーボールが見たいです。



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