面白かったからモントルー話を続ける。

昨年からあれだけ「バンチリードブロック!」とアナウンサーが叫び続けていても、ちっともリードブロックじゃなかったりした全日本女子。

お試しでセッターの高さがある程度他の選手たちと揃うことによって、今回のモントルーでようやくまともに「ブロックシステム」で戦うことを試せたのですよね。

本来は、久光製薬スプリングスの両センターとパイオニアレッドウィングスのセンターを一気に招集した2007年に、この改革に着手しなくてはならなかったのですが、あの柳本じゃ無理だよなぁ。

2007年ワールドカップ後の総括を読み返してみる方はこちらへ。→その5その6



昨年の状況を読み返すかたはこちら。

ブロック用語を覚えよう  2009年08月23日(日)

ちっともリードブロックじゃないじゃないか! 東京体育館に行ってきました プロローグ  2009年08月27日(木)

久光製薬スプリングス<の前に全日本の話> サマーリーグ決勝リーグに行ってきました。その4  2009年09月21日(月)



去年は地上波ゴールデンで「バンチリードブロック!」と叫ばれ続けたので、一気に間違った解釈がライトなバレーファンに広まってしまいました。

でもまぁ、当ブログや他のブログを読み込んだり、 " target="_blank">バレーボール百科事典バレーペディアに飛びついて読んだりする層には、これまで以上にバレーボールが組織によって戦う高速度の戦術的競技であることをはっきりと認識させることになったので、ある意味では良かったのかな。

TVでバレー解説をする人が、現代のバレーボール解説をするには不勉強すぎることをはっきりと証明することになったし。



問題はTV地上派で全日本の試合しかバレーボールを見ない、ライトなバレーファンが取り残されていること。

ああ、バレーファンを自認しながら競技を全く見ていないバレーファン層というのもいて、そういう残念な方々がネット上に害毒をばら撒いたりもしているのを忘れてはいけない。

昨年のワールドグランプリで間違った用語解釈を全国に広めてしまったフジテレビには、このあたりの修正を上手くやってほしいものです。



ちなみにこの間違った知識を広めた解説者は、ネット上で一部のバレーファンからあれこれ言われるようになって、ようやく認識の誤りに気付いたらしく、昨年秋のグラチャンで一夜漬けの知識でしどろもどろになりながら「バンチ・リードブロック」の説明をしていました。

しかし本人の中で消化しきれていないのでちっとも内容が伝わってきません。

前々回のエントリーで書いたアタックとブロックの相関を見てもわかるように、リードブロックの誕生は80年代後半。パイプ攻撃が登場してバンチで対応をするようになったのは90年代前半。

この20年間、何を見てきたのでしょうね。一体どーなってるの?答えてちょーだい!





昨年は「バンチ・リードブロック」からの「3枚ブロック」にこだわりを見せて一気にディフェンス力を強化しようと目論んだ真鍋体制の全日本でしたが、ブロックシステムを考えることができなくなる小型選手を起用せざるをえなくなった時点で早々にこの計画は頓挫しました。

「3枚ブロック」にこだわり過ぎた点も、その後のフロアディフェンスとカウンター攻撃においてさまざまな無理を生じていたと感じます。

この辺は上記リンクにも挙げた久光製薬スプリングス<の前に全日本の話>で、かなり理想的なバランスで「バンチ・リードブロック」からの「3枚ブロック」をやっていたスプリングスの話の中でも触れています。



モントルーでの全日本女子は、超小型セッターを使いながら「バンチ・リードブロック」からの「3枚ブロック」なんてことをしなくてもよくなりました。

「ブロックを見てトスが上がらない方向に逃げる」という形でリードブロックに参加をしていたセッターが自軍レフトに位置したところ、トランジションからトスがレフトに上がってきてしまったなんていう場面も昨年はありました。

しかもスパイク打たねーし。

リードブロックの最大の目的は相手攻撃をいかにカウンターアタックに持っていくかだろ。

せっかくその形ができたのに、肝心な二段スパイクを打たないなら、オレのポジションに入ってくるんじゃねーよ。



サマーリーグ決勝リーグでの久光製薬は、変に3枚ブロックにこだわりすぎず、良いバランスで繰り出されていると感じました。

「3枚ブロック」は、相手が完全に崩れてサードテンポによるサイド攻撃しか選択肢がないような時にのみ限定され、この時は積極的にキルブロックを狙っていく。

こういうことでいいと思うんだよね。

このあたりは昨年よりもバランスがはるかに良くなったとモントルーを見ていて感じたのでした。

「バンチ・リードブロック=3枚ブロック」という間違った解釈による呪縛から全日本女子が開放された…という見方もできるのかな?

今回のモントルーでの全日本女子は、セッターのブロックの高さも揃った結果、相手チームに先に20点台に乗せられても、セット終了まで接戦を続けることができるベーシックな安定感を見せたのでした。





山本愛(JTマーヴェラス)

今シーズンの召集で、ブロックシステムを成立させるために最も期待しているのがこの選手。

バンチ・リードブロックは、中央密集隊形からのリードブロックの技術で、ミドルブロッカー単体の技術ではありませんが、相手のトスを見て的確に反応できるミドルブロッカーの役回りはやはり大きなものがあります。



山本愛が久光製薬スプリングスでの復帰戦を見た時のことを08.11.01 久光製薬スプリングスvs.日立佐和リヴァーレ その3に書いています。

その時の横の動きは遅く、ブロックは割れまくり、どうしておーともを起用するのだろうと疑問に思う状態でした。


2月頃に試合を見に行った時には、それがかなり改善されて、スパイクの高さはともかく、ブロックの横の動きはしっかりしたものになっていったのでした。

これに触れた記事を書いたはずですが、すぐに見つからない。1月頃だったかな?



リードブロックに関して、真鍋監督はけっこう小うるさく要求しているのは以前から知られています。

ネットのインタビューで、北京オリンピック前に全日本に選出された大村加奈子が、久光製薬のチームでブロックで求められる役回りに触れたインタビューなども好例(ソースが見つからない…)。

全日本の試合後のインタビューでインタビュアーからキルブロックが出ていないことを指摘された真鍋監督が、ブロックリバウンドが取れていることに注目して欲しい発言があったり(これもソースが見つからない…)。

この真鍋監督の方針のもとで、山本愛選手にリードブロックの意識がしっかりと植え付けられていったのではないか…なんてことを感じています。



昨年JTマーヴェラスに移籍した後、初めて彼女を見た深谷では、右に左にしつこくブロックに食い下がり、笑ってしまうほどワンタッチを取り巻くっていました。

「笑ってしまう」は単なる形容ではなく、実際にあまりにしつこくてゲラゲラ笑っていたため、観戦の相方に「何が面白いの?」と聞かれたのでした。

この試合を見て『山本愛』という名前が正式に私の脳にインプットされたのでした。



この山本愛のしつこいリードブロックがJTのカウンターバレーの基点となっていて、いくつかある昨シーズンのJT大躍進のきっかけのひとつになっていたのでした。

この一連の変化から、山本愛が正しい意識を持ってブロックに取り組んでいるのが感じられて、全日本入りを期待するようになっていったのでした。



こうしたブロックに対する意識の変化を感じさせるような発言もバボちゃんネットで読めたりして、期待は高まっております。

実際、彼女が入ることでモントルーの全日本女子のシステムはかなり安定していたのですよね。



日本国内の試合と海外強豪との試合では、バレーボールの考え方においてかなり違いがあるので、そこに対応できるのか…という点がモントルーでのお試しの最重要課題だったのですよね。彼女の場合。

後ろを守るのがスーパーディグを見せるようなレシーブ陣ではないにもかかわらず、終盤25点を取られるまではセットの行方がわからない試合展開を繰り返すことができた。

これは山本愛が前衛の間は、ブロック&レシーブの連携とそこからの攻撃(トランジション)が安定していたと見ることができる働きだったと思います。



普通のことを普通にやって、終盤まで競り合える。

勝ちきれないあたりが地力の差ですが、「普通にやって勝てない」ことを前提に異端のバレーボールをやって、相手が先に20点に乗ってしまうとあとは一気に負けてしまう今までと違い、負けても力の差がある部分がはっきりと見てとれます。

これが本質的な強化には必要なこと。まだまだやれることがたくさんあります。



まだ対戦相手も若手選手のお試しをやっている段階ですが、若手だろうとベテランだろうと相手の高さは高いことに変わりありません。

その高さに対して山本愛はきちんとブロックで機能してシステムを成立させていたとモントルーでの試合を見て判断しました。

つまり少なくとも山本愛は「高さでは負けていない」。



8月のワールドグランプリでは、相手も一段レベルを上げた状態となるはずです。

日本にとってワールドグランプリは新システムの本格的な実験の場となるようですが、その基盤となるバンチ・リードブロックシステムの要としての期待を持って見ています。

ワールドグランプリになると、日本は主戦セッターを低いほうに変えるかと思いますが、高いほうのセッターで戦うことも何度かあるはずです。

その時の「ブロックシステムで戦う全日本女子」を見逃さないようにしたいものです。

その先にこそ、「今年の秋の世界選手権における正しい二次リーグの突破」の方向性があります。



この道はもちろん、「2年後のオリンピックの決勝トーナメントで、きちんと戦える全日本女子」につながる道です。

オリンピックでメダルとか言い出すのはその舞台できちんと戦えるようになってから。



それにしても「ブロックシステムで戦う全日本女子」なんて、当たり前すぎて恥ずかしい言葉だな。





字数が危ないので、もう一人期待の日本屈指のリードブロッカー庄司夕起や、他のミドルブロッカーの話は次回にします。
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技術・戦術・システム。私はついったー上でこの手の視点でバレーボールを語ることが比較的多い部類に属します。

一方でこうした話題を「奇跡」とか「感動」とか感傷的なバレーの見方との対立構造で考える前回エントリーで紹介したような人もきっと世の中には数多くいるのだろうなと思う今日この頃。



でもね、分析的な視点と感情的な視点っていうのは相反するものでもなんでもなく、一体なのですよね。



バレーボールの対戦相手を川の流れに例えてみます。

そして自分は向こう岸に渡りたい(相手に勝ちたい)。

川幅の広さ(バレーボールをやるステージ)と水流の激しさ(相手プレイヤーのレベル)によって、川の渡り方は変わってきます。



これが体育の授業レベルであれば、川幅も狭くて水量も少なく水量も穏やか。

これならピョコンと一気に跳び越えてしまうことも可能でしょうし、たまたま運動神経が優れた人が相手チームに多く集まっていても、川の流れにズブズブと足を踏み入れて渡りきってしまうことも簡単です。



まぁ要するに、私が10連続サービスエースを決めたところで教師が飛んできて怒鳴られた時のようなもの。

「相手が取りやすいサーブ」なんていうのは練習の概念になかったので、その後は初心者向けのアンダーハンドサーブを打ったのですが、すでに相手はビビッてしまっていて簡単に崩れた。



馬鹿馬鹿しい話ではあるけれども、ここに感動は無い。

川幅も水量も無い所なのだからそんな感じ。



これがクラスの運動神経優秀なメンバーで代表を組んだクラス対抗レベルになると、ちょっと異なってくる。

代表戦ということで川幅が多少広くなり、選抜メンバーということで流れも速くなってくる。

引退したバレー部員も出られるということになると、水がうねったり波を立てたりして、うかつに入り込むと足をすくわれる。



こうなると一気に川を跳び越えるのはリスクが大きいので、どうやって川の向こう岸に行くのかを考え始めることになる。



とりあえずサーブが来たら真上に上げられるような最低限のサーブレシーブを全員ができるように練習。

とりあえずサーブが入れば相手がミスすることも多いので、サーブが入るようにする。

経験値が1・2番の二人で対角を組み、後衛の者がセットして前衛の者がスパイクを打つツーセッターツーエースの基本の形を作る。

ボールを繋ぐ面白さというのを練習段階から醸成して、全員でボールを追うことが楽しいという雰囲気を作る。

余裕がある時には他の選手にもトスを上げて、攻撃にも積極的に参加する雰囲気を作る。



とりあえず川の浅い部分に石を置いて飛び石伝いに対岸に渡るイメージだけれども、どのくらいの石を置くか。石をどこに置くか。そんな感じで技術・戦術・システムというものが発生しはじめる。



私が高校3年の時のクラス対抗バレーボール。

私のチームは途中退部の私と中学時代にバレー部だった者と二人が競技バレー経験者。

決勝に勝ち上がってきた相手チームは、同期のキャプテンと途中退部の者の二人が競技バレー経験者。

相手チームは私にブロック3枚を貼り付けるブロック戦術を出してきて、キャプテンに1発きれいにキルブロックをされたことで頭にきて、ブロックと真っ向勝負して勝った。

キャプテンは現役の時に私に壊された手がせっかく引退して治りかかったのに、この試合で再び私に壊された。

まぁ、最後の最後で川に落ちたけれども、急流の中を強引に渡りきった感じ。

きっとフェイントを使えば楽だったな。



この試合は両クラスの応援の他にもそこそこ観客が集まった中で行われました。

私はソフトボールにも参加していたけれども、校庭でやっていたにもかかわらずそこまで観客は集まらなかった。

バレーは面白そうだと感じさせて、わざわざ体育館まで足を運ばせたのは、チーム全体のレベルは高くなくてもそれなりに技術・戦術・システムというものが発生するが故の面白さを期待されたからでしょう。

観戦者の競技理解レベルに見合ったバレーボールがそこにあったと言う事もできるかもしれない。



ソフトボールは結果どうだったかな?高校2年の時は優勝したのだけれども。



これが競技レベルになると、飛び石伝いではなく橋を架けることを考えなくてはなりません。

橋の強度を保つには技術が必要です。

どこに橋をかけるかという戦術も必要です。

川幅や水流を検討し、増水にも急流にも耐えられる構造設計も必要です。これがシステム。

そして川を渡る重量が重くなればなるほど、バランスが取れ、土台がしっかりした強固な橋が必要です。



もし優れた橋を作れたら、それから何年も安定して川を渡ることができるでしょう。

相手があり、その相手が意思を持って橋を壊しにかかってくる以上、どんな時でも川を渡れる橋を作ることはできませんが、それでも優れた橋を作ることができれば、かなり安定して川を渡ることができるようになります。



川幅の広さや水量や水流を検討して必要な橋をイメージできるかどうかがこの考え方の分かれ目なのかな。と仮説。



「3番橋脚が低くてちょっと水かさが増すと川を渡れない」だとか、「いつもいつも12番橋脚に極端に水圧がかかる」だとか、明らかに構造上の欠点でしょ。

そうした部分をきちんと分析・検討した上で、将来優れた橋を作るために今できることを一歩ずつ積み重ねていってることを確認できることって、面白みだったり喜びだったりしない?



「今回も応急処置班が活躍して橋は救われた」とか「○番橋脚が最後まで踏ん張ったのでなんとか橋を渡れた」とか、そういうのは最終的な目標である海峡に橋を渡す場面ではあっても良いけれども、日常的にこんなことをやらかしているようでは海峡は渡れない。

そんなことに一喜一憂していて舞い上がったりしていては、いつまでも未来はない。

柳本建設は橋の建設指定業者から外されました。当然のこと。





モントルーは橋梁の素材実験の場。

橋を渡ることが目的ではなく、海峡を渡る橋を建設するのに期待が持てる素材を見出すことができれば目的はほぼ達成できる。

ブラジル遠征での親善試合でもこれは引き続き行われている。

つまり目的を理解して勝った負けた以外の部分に目を向けることができれば、そこには面白さや感動なども詰まっている。



バレーボールを知れば知るほど、こうした戦いで「勝った負けた」以外の要素で楽しめるようになるし、勝利が重要ではない一戦での勝敗に一喜一憂しなくなる。

こうした視点を持った「橋マニア」が増えれば増えるほど、橋梁実験の判定結果捏造などができない環境ができてくるし、目先の派手な応急処置に気を取られて本質的な部分を見誤らせるような論調を押さえることもできるようになると思うのだ。

そうした部分に目を向けて、成果を確かめつつ前進するところに、面白みは感じない?



技術・戦術・システム。こうした事に興味を持って知れば知るほど、バレーボールはいつだって面白くなる。

応援するチームが負けたって面白い事が多いんだよ。だって、何らかの発見があれば将来への期待につながるから。

そうなってくれば「弱いからバレーを見ない」とか「負けるから応援しない」なんてことはなくなってくる。

そうしたファンは負けても面白いから試合を見続けるし、もっと面白いことを発見できるようになろうと学習もする。

さらに課題や達成できたことが見えるようになって面白いから負けたって面白くなる。



そんなバレーファンが増えてきたら…大変。

全日本が負けても負けても正しい努力を続けている限りバレーファンは増え続ける!

うん。何が正しい方向性か。どういった考えで何の努力をしているのかを全日本チームや選手がアピールすることで、日本のバレーボール界は儲かって仕方がない状況になっていくではないか。



これを読んだバレーファンはどちらに進むのかな?

こっち側に来るのにとても良い本がありますよ。当ブログ経由でもとても売れています。

サントリーと全日本男子チームからも購入の注文が入ったそうな。







本当に2年に1回くらい増補改訂版が出るようになるといいなぁ。







ちょっとだけ話がずれるけれども、システム・戦術と選手の個性というものを対立構造で考える人もいるんだよね。

「間違った技術の方向性」を「個性」と考えているんじゃないの?なんて思うような意見を主張している人もいる。

でもさ、システムや戦術に必要とされる技術習得ごときで個性が消されてしまうのならば、その個性なんてニセモノ。

求められる技術習得の段階でも個性は出てくるだろうし、その個性によって習得のアプローチの方向性も変わってくる。

選手個人を追うなら、その選手のアプローチの方法を見ていくのも楽しみだろうし、それで正しくシステムや戦術に適合したのならば喜びもひとしおでしょう。

個性がホンモノならシステムを成立させる中でもその選手の個性はあふれてくるもの。

バレーボールという競技を行うための優れた個性ならば、システムや戦術に迅速に適合するためにしっかりと発揮されるはずだし、そうした個性を持つ選手は多様な戦術に適合できる期待値も高くなる。

相反する要素として考える意味がわからないのだ。





このあたりの話を一度書いておきたかったのだ。



全日本女子はブラジル遠征中で、ワールドグランプリのメンバーも発表されているけれども、当ブログはもうちょっとモントルーを振り返りたいと考えています。

だって面白かったんだもん。
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今年の真鍋ジャパンがおもしろい(モントルー女子バレー ドイツ戦)

トゥギャッターでモントルーでのドイツ戦をライブで見ながらのついったー実況ですが、全日本女子は、この勝ったドイツ戦に限らず、今年のモントルーは本当に有意義な大会の使用法ができたと考えているのです。

ちなみに私は仕事でどたばたした関係もあって、この日は実況に口を出していますが、ドイツ戦とポーランド戦の観戦はつい先日になりました。



見えるものしか見えない人の評価だとこのようになるようですが、モントルーごときで監督の責任を追及するって、そんなことをしたらいつまで経っても強化なんかできやしない。

バレーファンとしては、見えるものの行間が見えるようになりたいし、全日本の強い姿というのを具体的なイメージでしっかりと見据えて、今取り組んでいることの意味も見えるようになりたいものですよね。

ちなみに遅れて見た私のドイツ戦・ポーランド戦の一人実況はこちら。

モントルーのドイツ戦とポーランド戦 ビデオを見ながら一人実況







全日本女子はモントルーを「久々の全日本選手及び全日本初選出の選手の国際試合における現在の力量判定」と位置付けて戦いました。

こうして大会毎に「大会の位置付け」を明確にして、目的を持って戦うことこそ、バレーファンが待っていたことです。

昨年も最初こそモントルーは若手の力試しの場として真鍋監督は使おうとしていたと思うのですが、あまりにもバラバラな戦いぶりで、結局オリンピックメンバーを投入してこの企図は失敗してしまいました。

おそらく監督就任直後で、ある程度成績も収めなくてはいけないというプレッシャーやら外圧もあったのでしょう。



今年は全日本におけるベテラン選手を遠征メンバーから外すことで、途中からの方針転換ができないようにしていました。

経験値のある選手を適度に休ませることはとても良いことです。

しかし本来は、例えば「今回はベテランセッターは休ませて」とか「今回レフトはこの選手で」というような起用法で、徐々にシステムの中で活用できる戦力層に厚みを増すことが理想的。一気に経験値が低い選手を起用することには反対だったのですよね。実はこのモントルーはそのあたりを不安視していました。

けれども戦術システムがしっかりしたチームであればこうしたことでシステムに適合した新たな選手を見出す機会を増やすことができますが、よくよく考えたら、全日本女子にまともに世界の強豪と戦えるだけの「システム」なんていうのは存在していなかった。



結果的に良かったのは、これまでの「約束事」に引きずられることが無い選手たちが、真鍋監督の考える「システム」を純度が高い状態で戦えたこと。

リードブロックを中心にしたブロックシステム。

ブロック&レシーブの連携と、そこからのカウンター攻撃。(トランジション)

一発で決められない場面での二次・三次攻撃。(ブロックリバウンドからの攻撃とブロックアウト)



サーブの強度アップの意識も試合の全てではないけれども大会を通じてしばしば見られて、全日本女子が強くなっていくためのベーシックになるバレーボールを見られました。



以前から当ブログではセッター・リベロ・レセプション担当WSの3つのポジションを問題視していたのですが、システムの問題を含めていろいろなことが感じられてとても面白かった。

今回はセッターのお試しという点がとても大きかったので、アタッカーの攻撃力云々などはまだまだ評価する段階ではないのですが、大会を通じて見たポジションごとの選手評価などもシステムを踏まえてやってみたいと思わせるものでした。これは時間が許せばやります。







本当はWGPで初披露すると言われていた「オリジナル」。



これは5月のバボチャンネルの全日本女子の練習映像を見て私が気付いてしまったもので、フジテレビ的にも「WGPまでは他言無用」と言われていたそうです。

私とフジテレビの中の人とのついったー上のやりとりを見て、得意気に掲示板上で「バックレフトが二段トスを上げる」と書き込む人も出てきたり、しまいには月刊バレーボール7月号でこのシステムの図解が出ていたりして、ちっとも「他言無用」じゃない。

全く、「ここだけの話」で情報守秘に鈍感なのは太平洋戦争当時の日本人と比べても情報リテラシーが成長していないじゃないか。

私はシステムの全貌がわからないし、WGPまで内緒というので、試合で見ていない以上は触れないでいた。



オポジットが後衛の時に、バックプレイヤーの配列が妙だったので、開幕のアメリカ戦からこの「オリジナル」を試行しているのがわかった全日本女子。

いろいろ試してみるってことは賛成なのですが、結論から言うとこのシステムは反対なのですよね。

バレーボールの長い歴史の流れから見ると、逆行している。



アタッカーとブロッカーの長い歴史はこのように推移しています。(参考: ">基本から戦術まで バレーボール




① ブロッカーの長身化(60年代後半)

 ブロックのオーバーネットOKのルール改正で拍車がかかる。



② 速攻コンビネーション攻撃(70年代前半/日本は現在も色濃く残す)

日本で生み出された速攻を軸とするコンビネーションバレー。

アタッカーが連携してブロックと対決するようになる。



③ (マンツーマン・コミット)ブロックシステム

アタッカーの速い攻撃に対し、(アタッカーがどのように動いても)1対1でブロックが付く状況を生み出す。



④ バックアタックの一般化〜コンビネーション化(70年代後半?〜80年代前半)

バックアタックにより、アタッカー4対ブロッカー3の数的優位を生み出そうとする。



⑤ リードブロックシステム(80年代後半)

ブロックを個人技としてではなく、レシーブの連携を前提としたシステムとして考えるようになる。



⑥ パイプ攻撃(90年代前半)

ブロックが組織化されたことにより、それを分断しようとするバックアタックの前衛との連携化。高速化。

再びアタッカー4対ブロッカー3の数的優位を生み出そうとする。



⑦ バンチ・リードブロック

中央密集隊形からのリードブロックにより、ブロックの数的不利を組織ブロックでカバーしようとするもの。



⑧ 高速スプレッド攻撃

バンチ隊形を高いセンターからのクイックと、両サイドの速い攻撃によって崩そうとするもの。



現在の世界強豪のバレーボールは、状況に応じて⑤から⑧を選択する形で行われている(戦術)。

そして理想的な状況と言えない場面でも、ブロックに対して攻撃枚数を減らさないシステムを目指している。



先日の一人実況中、suis annex weBLOGの中の人からついったー上で提示してもらった動画がコレ。現在の現実的な線で目指すべき方向はこれですね。







セッターがセットに入れない状況でも、リベロが普通にファーストテンポのセットを上げている。

フロアディフェンスの動きで理想的な攻撃隊形ではないにも関わらず、前衛3枚はファーストテンポの攻撃準備ができている。



日本の目指すべき方向が攻撃枚数を減らす方向性でどうする!ってな話です。

「日本人は個の攻撃力で外国人に劣っている」というならば、なおさら数的優位を作らないのは何故?ってこと。

8月のWGPで本格的にバレーファンの前にこのシステムが出ることになるのですが、何らかの修正をしていかない限り、「リベロがセットアップできない故のシステム」という批判に晒されるよなぁ…



究極をイメージするならば、「セッターなんかいらない」と、リベロが全部セットを行う、アタッカーが常に5枚のバレーボールっていうのが考えられる。

さらに先を考えるならば、長身セッターが前衛センターに位置して行うツー攻撃を機軸にして、他のアタッカー5人全てが攻撃に入る「リベロなんていらない」バレーっていうのが究極の先。これならバックアタックも打てるツーセッターで、常に6対3の状況だよね。

あとはリベロが相手からポイントをもぎ取る方法を考えるとか、現行ルールでできることはまだまだある。

目指す以上は、世界を驚かすような効果的な「オリジナル」を開発してほしいものです。
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長文を書いたエントリーがまた消えてしまった。

10000字超えているという警告が出てなかったので「公開」押したのに…







けっこうダメージが大きかったので、モントルーについての位置付けやらいろいろ気付いたことやらをもう一回書き直す気力はありません。

いろいろ感じたけれども、まぁ第1戦だし、大会が終わったあとの総括として書き直すかな。



とりあえず今回は、管理人の戯言〜バレーボール馬鹿の独り言〜の中の人に感謝の意を示しつつ、ついったーでのモントルー 全日本vs.アメリカ戦のタイムラインを表示します。

戯言さん、ありがとうございました。











モントルー アメリカ戦 全日本女子の第1セットスターティングオーダー

*サーブは全日本から

07 山口舞    04 井上香織    08 吉澤智恵

16 迫田さおり  05 山本愛     02 横山雅美

リベロ:17 井野亜季子








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おいおい、 ">バレーペディアの中古品、早くも2倍以上のプレミア価格になっているぞ。まだ新品買えるのに。







少し前、Stay Foolishにて「作ってほしい」用語集というエントリーがありました。

" target="_blank">バレーボール百科事典バレーペディアからのインスパイアエントリーで、特定の戦術を示す用語を作ってほしいというものでした。



バレー用語について その1

バレー用語について その2

でも書いているように、「バレーボール用語統一化」という流れには基本的には反対をする立場を私は主張しています。

用語は教科書を丸暗記するようなものではなく、用語の意味を考えたり語源を学んだりすることが、バレーボールを見る目線を豊かにしていくものだと考えている。

そうした土壌があってこそ新たな用語の創出ができるようになるし、バレーボールを前に自由にアイディアを出せるような環境こそが強い日本のバレーボールを創造していくものだと信じています。



こんな風に考えている私は「作ってほしい」用語集というエントリーをほろ酔いで読んで、反射的にコメント欄に書き込みをしました。

新語やキャッチコピーを作る時に、私が絡まなくてどうする!





セッターが前衛に行った時にスパイカーと変わり、後衛に行ったオポジットが控えセッターと変わる交替

これは一般的に『二枚替え』と呼ばれている戦術です。



バックオーダーの時のS4(セッターがゾーン4)のローテーション

S   C   L

L   C   O




この時にS→O’とO→S’という2枚の交替を(同時に)行い、前衛攻撃を3枚のままゲームを続行する戦術。

Oのサーブが強力で、サーブ&ブロックでブレイクする意図がある場合にはOのサーブが終わった後でO→S’の交替をするとか、バリエーションも考えられるので、(同時に)という表記をしております。



二枚替え後の選手配置*S’は1だけど、実際はS4

O’   C   L

L   C   S’




つまりS4ローテを一般的に最も強いローテーションにする傾向にあるS1ローテと同じ配列にしてしまおうという戦術です。

3ローテーション回ったところでS’→OとO’→Sを行えば、また前衛アタッカー3枚の状況が続く。

試合の2回目のタイムアウト以降など、勝負どころでこれを行うことで、9ローテーション連続して前衛アタッカーが3枚の状況が生み出せます。

16点でリードしている場面でこのローテーションを迎え、その後9ローテーションをきちんとファーストサイドアウトが取れたら、ほら、もう25点じゃないか。

その中で1回でもブレイクできていれば、もうそのセットは勝ちでしょ。



これを一般的に『二枚替え』と呼んでいるのですが、実際の所、サーブ&ブロックで勝負をかけようとして、ヘナチョコサーバーの替わりにサーブで相手を崩せる期待が持てる選手をリリーフ・サーバーとして投入して、例えば身長の低いセッターの替わりにリリーフ・ブロッカーを投入するようなケースも二枚の選手交替をするわけですから意味としては『二枚替え』です。



この広義の『二枚替え』から、S4での対角の選手交替によって擬似S1を作ってしまう戦術を区別する用語があったほうが良いだろうというのが、Stay Foolishの趣旨。

なるほどもっともな話。

そして今の日本のバレーボール界に用語を生み出す想像力が無いのならば、俺が作る!



ほろ酔いの私が脊髄反射的に名付けました。

スイッチバック







スイッチバックとは鉄道用語からの引用です。

wikipediaの解説はこちら:スイッチバック



簡単に要約すると、急斜面を登っていくような鉄道などで、立地の関係などから一本の線で路線を結べないような時に、列車の進行方向を変えて進んでいくのがスイッチバックの語源。

関東在住の方ならば箱根登山鉄道をすぐに連想できるかと思います。

バレー観戦によく行かれる方ならば、小田急の藤沢駅も馴染みがあるかと思います。あそこもスイッチバックの駅。



バレー観戦で福井に行くときに、少し遠回りして今は廃止された夜行急行『能登』に乗ったのですが、これも途中でスイッチバックするため、目覚めた時に進行方向が逆で、わかっていても寝起きなのでびっくりするという儀式がありました。

夜行急行『能登』上野駅入線中





ほろ酔いでセッターとオポジットの前後を入れ替える戦術を『スイッチバック』と名付けて、一夜明けてからもう一度考え直してみたところ、やはり代案は浮かばず、優れたネーミングなのではという思いを強めました。

前後を入れ替えるという意味的な要素も、得点をジグザグに25点まで積み重ねていく視覚的なイメージも含んでいて、これ以上の代案は出ないだろうとも確信。



大林素子が「植田監督!スイッチバックのスタンバイを指示しています」と嬉しそうにコートサイドレポートをしている姿もイメージできたので、もうスイッチバックで決まりです。

これを読んだ皆様、どんどん使っちゃってください。





文句がある奴ァこれ以上の代案を出してね。

バレーペディアの何年度版に掲載されるかな?




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