最も印象に残った勝利
生観戦してきた中での最も印象に残った勝ち試合は08年02月16日の対デンソー戦です。

昨シーズンからデンソー鬼ブロックの試合というのは時々あり、自分は『ミドルブロッカーのサイドへの寄せが速い』ことを言及していました。
その理由はsuis annex weBLOGで言うところの『えせリードブロック』の解説に合点がいきました。
(詳細に解説したページがすぐに見つからなかったので、今年のデンソーの総括ページにリンク)

リードブロックを前提とした上で、データを加味する。
大村加奈子のインタビューで久光で取り組んでいると話していた新しいブロックの形というのが真相かもしれません。
プレイヤーの直感頼りの従来のコミットではなく、リードブロックの先にあるデータを加味したコミットブロック。
ただ自分は皇后杯で生で確認したミドルブロッカーのサイドブロッカーへのチャージも大きいかなと見ております。

20年以上前の高校男子バレーの世界では今のようなブロック戦術というものは無く、それ以前に自分が『ブロックとレシーブの連携によって守備範囲を明確にする』という提案をしてもチームではなかなか理解されない状況でした。
こういう提案をするとすぐに「楽をしようとしている」と言われた。
いや、初めからバレーボールを苦行にする気はさらさらなく、勝利への合理的なアプローチを望んでいただけなのですが。

その時代にブロックとレシーブとの連携という考え方が無かったのかというとそんな事は無く、自分のレフトオープンを抜くコース抜くコースに全てレシーバーが待ち構えているチームと対戦したことがありました。
見事組織化されていて、試合中ネット越しに「お前らブロックとレシーブの関係、スゲーいいな」と相手選手に言った所、「そんなの当たり前だろ」と言われてムカついたことがありました。
相手の言い草よりも日頃提示していた事への理解の無い自分のチームにムカついていたのですが、とばっちりは相手チームへ。
レシーバーの届かない落下点を計算して入射角とスパイク威力を調整した完全なブロックアウト狙い。
しかも同じ角度にはスパイクを絶対に続けて打たない。
その試合は負けましたが、相手の選手たちはタイムアウトのたびに徹底的にワンタッチ狙いの自分をなんとかしろと最後まで怒鳴られ続けていました。
その試合、俺だけは負けてない。
試合後の反省会でもこう言いました。文句は言わせない。

ちょっと話がそれました。
当時のブロックを今のブロック戦術用語で言うならば、配置はスプレッド。
レフトオープンを基準に話を進めると、サイドブロッカーはアンテナからの間隔をコントロールしながら基本はストレートを閉めていきます。
ミドルブロッカーは相手センターのクイックに対しマンツーマンコミットで対応し、相手サイド攻撃に対してはリードブロック。
ミドルブロッカーは基準となるサイドにきっちりと揃えながらクロス方向を担当します。

ミドルブロッカーのサイドへの寄せは空中で流れても、基準となるサイドブロッカーへの体当たりで間隔を閉めていきます。
基準となるサイドブロッカーはその体当たりを空中で受けて、しかも当たり負けをしてはいけない。
自分はこの空中でのミドルブロッカーの受けが嫌でして…
肩の筋肉の部分で当たってくれればいいのですが、時々腰骨が自分の体に突き刺さるんですよ。
ミドルブロッカーは痩せ型が多いので痛いし痕が付くこともあるし相手は男だし……
ミドルが女子なら喜んで毎日100本ブロック練習するけど。

こうした空中での体当たりは大昔は女子バレーでもやっていた気もするのですが、見なくなったのは基本の配列でバンチを取るチームが多いからかとも思っております。
サイドブロッカーも中央から外に向かって体が流れるため、露骨な当たりが起きない。
女子の場合はライトプレイヤーが小型のケースが多かったり、もともと接触プレイを回避しようとする性質もあることもこうしたブロックが少ない要因かもしれません。

皇后杯で見たのが眞選手に対する矢野選手の体当たり。
相手レフト攻撃に対して基準となるライトブロッカーにきっちりとチャージをかますことによって2枚ブロックを締める。
体格がしっかりした矢野選手のチャージを空中でしっかり受け止めたアコに感動したのでした。
このあたりが体格の揃った選手がコートに立つメリット。
これを支えられないと二人とも着地で転倒したりして怪我の原因になったりする危険があります。
ちなみにバレーの場合は打撲や擦り傷や足を強めに捻ったくらいでは怪我と認定されませんので、もっと大怪我の危険を意味しています。

また少し話がそれますが、東レでも荒木絵里香がライトに芝田がいる場面できっちりと当たりに行っている姿もレギュラーラウンド最終戦で見ました。
データ集計をする根気も趣味も無いので具体的な数字は出せませんが、おそらく今年エリカのブロック力が存分に発揮できたのは前衛が荒木−芝田の時だったのではと予想してみたりします。
ライトが中道だと、エリカは当たりに行かずに中道の後方を流れて行きますので、自動的に体がネットから離れることになります。
おそらく集計を取れば一目瞭然。
これは全日本でも竹下相手の時におそらく一緒のはずです。
どなたか検証してみませんか?

デンソーはサイドへのブロックが速くて堅い。
デンソーは当たり負けしそうな極端な小型選手を前衛に立たせないことで、こうしたプレイを可能にしているのだと思います。
特別に大型の選手を持たなくても、前衛プレイヤーの体格を揃えるメリットは大きい。
美子ちゃんががっちりしすぎているとか、アコがムチムチとか、そういう話は抜きで。

今シーズン上位に来た東レとデンソーにこうしたブロックが見られた事は意味のあることだと思いますので、いずれどこかで書きたいと思っていました。
各チームの総括をするような時間は作れそうになさそうなので、少し長くなりましたがデンソーの強さに触れるいい機会なのであえて書いてみました。

今年はこのブロックを軸とした堅いディフェンスに加え、各選手が攻撃力を増してきていて、2月の時点では安定した強さを充分に感じさせるチームとなっていました。
ロンドン選手の加入も大きいとは思いますが、全体的な底上げがきちんと感じられていた今年のデンソー。
片下リベロデビューを深谷で見ましたが、この試合で久光のサーブ集中攻撃を見事に耐え切り、高卒新人(当時は高校生)を一気にVチャレンジレベルの大人にしてしまった事も大きい。
これまでは次期リベロどうするのだろうという印象だったデンソーですが、リベロも相手を考えながら使い分けをできるようになったのでした。

バンブーは1月にデンソーと当たった時に、レシーバーだった櫻井エビさんのサーブにかなりやられました。
ピンチサーバーからレシーバーという起用で3セットに出場して、サーブの打数はなんと13。
細田選手がこの日サーブで22%の効果率を上げていますが、ピンチサーバーで出て15%の効果率というのはかなり印象が強い。

バンブーもオカトモサーブのタイミングのローテが攻撃力不足で回らないという大きな原因もあったのですが、この時またエビさんがレシーバーに回ったらやっかいだなと思っていたのでした。
この日は櫻井エビさんがリベロでちょっと安堵しました。

この試合、落としたセットは思い切り淡白で課題も相変わらず抱えたままだったのですが、『今年のデンソーは強いぞ』と誰もが認識するようになった中で『もう日立佐和にしか勝てない』と言われていたバンブーがフルセットを競り勝ったことが何より印象的でした。
勝ち方もサイドアタッカーが打ち負けなかった数字を残しています。
つるじバンブーとチャミエアリーだと、つるじバンブーのほうがセンター線使いたがり傾向ですが、この日はブロックリバウンドからの攻撃が多く、今年のバンブーでは珍しく吉澤チエちゃんの打数が50本を超えています。
それだけブロックに阻まれているということではありますが、こうしたボールを拾いながらだんだんテンションが上がっていく選手たちを見るのがバンブーファンの楽しみのひとつでもあります。
…試合開始前からテンションアゲアゲの選手がいないという困った状況なのは置いておきます。

この試合は課題も見られたのですが、リーグを通して考えた時に、強いデンソーを破ったことで、後半の巻き返しに大きな期待を持てたのでした。
前の週でNECに比較的良い形で勝っており、この次の対戦がまたNECということで、4強入りまでは難しいもののシーズン終盤の巻き返しで存在感を示すターニングポイントとなる最大のチャンスだったと思います。
・ブロックとレシーブの連携が昨年レベルに向上すれば…
・まずサーブで引っ掻き回すことができれば…
まだまだ向上の余地もあっただけに、この時点で完成しきっているチームも喰っていけるという期待が膨らみました。
翌日ワーストゲームのひとつをやらかすあたりが今年のバンブーの実力でしたが。

ちなみにこの次の対戦では再びリベロは片下となっていました。
サーブの強度も増して、この時は美子さんに30本もサーブを打たれたのでした。このローテーションで1セット分に近い得点を献上したことになります。

その3も書きます。
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けっこう忙しい日々です。
仕事仲間からのお誘いがあって飲む機会も多い。
その合間に近所のパーティルームに行って、5〜6人くらいでオリンピック中継を見ながらオールで大騒ぎできないかと交渉に行ったり…
「TV受信ができないシステムになっておりまして」とそっけないお答えでしたが。

サマーリーグを見に行けるのだろうかと少し心配。→バンブーニュース
金曜日に休めるか?
土曜日は夕方からNGの予定なので蓮田まで足を伸ばせるかどうか?
その日は家から近い有明に行けば試合もきちんと見られるかも…と、ワールドリーグも候補に浮上中。
でも男子がオリンピック行きを決めて、さすがにチケット取れないかなぁ…
過去2年は当日券で近場開催の試合を見に行ってたのですが。
とりあえず日曜日は何がなんでもサマーリーグとするつもりです。

サマーリーグは来期への助走開始ですので、気にしていた07/08シーズンの統括をその前に済ませておきたいと思います。

まずは今シーズン、自分が生観戦をした時の勝敗のまとめなどから。
これは自分の整理用。

会場生観戦時の勝敗
Vプレミアリーグ
07.12.08 滋賀 対久光製薬スプリングス
07.12.09 滋賀 対東レアローズ
07.12.15 深谷 対トヨタ車体クインシーズ
07.12.16 深谷 対パイオニアレッドウィングス
08.02.16 神奈川 対デンソーエアリービーズ
08.02.17 神奈川 対NECレッドロケッツ
08.03.01 所沢 対東レアローズ
08.03.02 所沢 対JTマーヴェラス
08.03.16 福井 対トヨタ車体クインシーズ
9戦 2勝7敗

皇后杯
08.01.02 セミファイナル2回戦 対筑波大学
08.01.03 セミファイナル3回戦 対NECレッドロケッツ
2戦 1勝1敗

Vチャレンジカップ
08.04.12 対PFUブルーキャッツ
08.04.13 対PFUブルーキャッツ
2戦 2勝0敗

黒鷲旗
08.05.01 予選グループ戦 対NECレッドロケッツ
08.05.02 予選グループ戦 対久光製薬スプリングス
2戦 1勝1敗

勝率低いな…

試合観戦のために遠征なんてことを始めたのは今シーズンがはじめてでしたが、Vプレミアに関して言えば1シーズン2回という事でとりあえず無理の無い範囲でした。
しかしチケット代と比較して遠征して宿泊する料金を考えてみると、ずいぶんバレー界以外にお金を落としているのだなと感じます。
「そこはできる限り節約して…」という話はよく聞きますが、せっかく見知らぬ土地に行くのにバレーを見るだけというのは味気無くて自分の場合はちょっと考えられない。
観光まではなかなかできませんが、移動や食事などはそれなりに楽しみたいものです。
だから500系に乗ったり犬顔の深夜急行に乗ったり。近江では牛を食べた。チェーン店でも牛は牛。

自分の場合は今後も熱心に行って今シーズンのペースでしょう。
ホーム…というか、関東開催は全部行けました。
アクセスの芳しくない場所が多いので、結局お泊りを選択するようになったのですが。

H&Aに移行して好きなチームの地元開催が増えない限り、これ以上の試合生観戦は難しいですね。
Vプレミア機構もずいぶんもったいない商売をしている。ファンに遠征を強いなければもっと金をバレーに関係ある事に使わせることができるのに。
3レグ方式ならば2レグをH&Aで行って、1レグをVリーグ機構主催として行う・・・というような形を取れば、『普及』という目的も充分果たせると思うのですが。
まずはCS加入者を増やすことでしょうか。これをケチってしまう人があまりに多い。
バレーファンの加入者が増えたら、バレー放送がもっと増えることが期待できるのに。

皇后杯はバンブーのいない5日・6日も見に行きました。
天皇杯・皇后杯に関しては以前書いたとおり
まだ第1回大会だったので、今後の発展に期待します。

Vチャレンジカップは今年限りとしたいものですが、来年は下位2チームが自動的に降格ということを考えるとバンブーは少しぐらい頑張ったところで良くてVチャレンジカップまわりでしょう。
新規選手補強も他チームと比較すると地味ですし、オリンピック明けなので他チームはビッグネームの外国人選手を引っ張ってくる動きを見せています。
バンブーは例年ビッグネームを引っ張ってくる傾向にありますが、来シーズンはここで差をつけることは難しくなりそうです。
藤沢はアホが集結して狂騒状態だったのですが面白かったのでした。
えーっと、最近行っていないのでどうせなら北海道行きたい。カシオペアか北斗星だな。
函館で開催しろ!

黒鷲旗は強行スケジュールで行ってきたのですが、楽しゅうございました。
体育館は古かったけれども、立地が繁華街の中だったので試合後すぐに大阪の街を堪能できました。
あれはいいね。
いつもは食事をするところを探すために歩き回るのに、食事をする所を選んでいるうちにいつの間にか歩き回る感じ。
大阪の人がうらやましい。
観光予定日を急遽帰京に変更してしまったこともあり、チャンスがあればまた見に行きたいものです。

その2も書きます。
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4月に発売された少女ファイトの4巻です。



バレー観戦仲間の女性に薦められて読み始めた『少女ファイト』。

バレーのストーリーものの話をしていて、人物描写が丁寧で面白いと薦められたのでした。



少女マンガだとか女性漫画家の絵だとかには抵抗は無いのですが、日本橋ヨヲコさんの絵のタッチは普通だと自分のアンテナには引っかからない。

最初は絵のタッチが苦手だなと思っていたのですが、1巻を読み始めてすぐに馴染んだのでした。



人物の心理描写、特に恋愛感情の描写などにはあまり興味はないので薦めてくれた女性とは感じ方が異なるのですが、面白く感じたのは登場人物のセリフの言い回し。

ちょっとしたフレーズがハートに突き刺さってきます。



この巻でも「うちの秘蔵っ子こと安定感がなくスパイカーに厳しい球を上げるセッター、小田切学です」という絶妙な回りくどいセリフ回しが自分を喜ばせてくれます。

作者と編集者、おそらく一緒にバレー観戦に行ったら波長が合いそう。

一緒に久光製薬スプリングスの三上彩を見てあれこれ言いあってみたい。



いやいや、「生き方が雑だな」というようなキャッチフレーズのような鋭いカッコいいセリフも突き刺さってくるのですが。



そして引き込まれたのはこの小田切という脇役の長身少女でした。

小学校の時に主人公に助けられた子。

なんと高校からバレーをはじめます。



すみません。天性の才能に恵まれた主人公ってのに昔から感情移入ができなくて…

やっぱりコズエよりもミドリだし、関西弁を喋る子も好きだった。

オカヒロミよりオチョウフジンよりマキだし、ヒウマよりもミツルよりもホーサク…というか「アンちゃん」の努力する姿に涙ですたい。

タロウよりイワキ。イワキはある意味一番天才かもしれないけど。

トンマは天才ヅラ。



うーん、サキノクミコよりオームラカナコだし…自分、何かが歪んでいるのかもしれない。

でも脇役が魅力的じゃないと世の中面白くない。

こうした視点があると、トヨタ車体の谷口監督だって見ていて楽しい。

デンソーの眞も超脇役。コートチェンジのときによく一番重いドリンクを入れた箱を抱えて移動している姿も、オカトモの肩に掛かったタオルを絶妙なタイミングで引き抜こうと獣のような目で集中している姿も見逃しません。



スポーツ漫画は主人公が類まれなる天才ってパターンが多いし、バレー漫画は特にその傾向が強すぎる気がします。

でも、この『少女ファイト』4巻でとても良いセリフが出てきます。



「特別な人間なんていねんだよ。そいつが何をやってきたかが特別なだけだ」



そして今までそれほど触れられなかったチームメイトたちのバックボーンが少しずつ見えてきます。



実は第3巻で賭けバレーの話が展開されていたのですが、それを見ていてなんだかなぁ…と思っていたのでした。

でもそのことによってチームが他校からヒールのレッテルを貼られて穿った目で見られていくことになる。

その事件によって各選手の生い立ちがむき出しになってきました。お互いを知り始める。



これ、チームが本物のチームになっていく過程。



練習シーンで出てくる練習方法や、先輩がバレー初心者にバレーボールの競技を解説する場面など、何気ないところの描写やセリフがもの凄くリアリティを持っていて、バレーボール漫画として急速に面白くなってきました。



ちなみにブロック練習として描かれていたのが先日武富士バンブーの練習見学で見て感心したものと同じ、ゴムを張ってその下から手を突き出すというもの。

編集者も作者もかなりいろいろ取材しているんだろうな。ということが伝わってきます。



『春高は出て当然』というモチベーションを持った選手が集まっている時点でリアリティが無いとも言えるのですが、そこはこの学校に集まってきた選手たちの生い立ちが違和感を薄くしてくれます。



ここを本当にリアリティ重視すると、目標設定の段階で選手間の温度差があって、それを引きずったまま負けて終わりになっちゃいますからね。

自分の経験で言えば東京都でベスト8に入るための練習って微妙すぎて難しいでしょ。

前年全国制覇したミラクル東亜をぶちのめすための練習というほうが、目標としてはシンプルでわかりやすい。

ミーティングで「バレー部に入ったら浪人は覚悟だろ」と言ったら、それ以上何も発言させてもらえなくなりました。

どうやら進学校では「浪人覚悟」は禁句だったらしい。

スポーツ校の選手の意識ってこうなのか?自分の経験上バレーボールの最大の壁だった選手のモチベーション問題が最初にクリアされている環境ってのはとてもうらやましい。



この巻からいよいよバレーボール漫画として面白くなってきそうな気配がプンプンの『少女ファイト』。

チームがチームになっていく過程を見逃せません。



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サーブレシーブについて過去の記事を読んでいない方はこちらからどうぞ。
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前回はサーブレシーブはその前の前、すなわちサーブの前のプレイが無いから予測が難しいという事に触れました。
だからこそ事前の情報収集が大切。

貴重な偵察時間を潰して選手を試合会場の学校の校庭に引っ張り出し、「最後の詰めだ」と3メンレシーブとかやっていませんか?そこの指導者の方?
砂まみれになりながら『相手サーブのチェックをしておきたいのに』と思って不貞腐れている選手を「お前はやる気が無いのか!」などといって3メンからワンマンに移行したりしていませんか?指導者の方?
そして『最後の詰め』を終えて、「やることは全てやった」なんて選手たちに言っていませんか?指導者の方?

ワンマンを喰らった選手はあなたのことを『こいつ馬鹿じゃないの?』と思っていますよ。
「やることは全てやった」って…最低限やるべきことをやっていないじゃん…と。
そして記憶力は自信が無いくせにこういう事だけはしっかりと覚えていて、20年も経ってからブログに書いたりします。

自分、バレーに関してはそこそこ執念深いです。


待ち受け姿勢

前回までのおさらい
バレーボールはボールを止めることができない連続動作で行う競技。
つまり前の前の段階で予測を元に自分の行動の準備に入らなければ間に合わない競技です。

サーブレシーブの場合は予測を行う前の前のプレイというものが存在しない

ゆえに、サーブレシーブをするための予測のための時間をどうやって生み出していくか。

事前の情報収集
・最も高速のサーブを重点マーク
・それよりも遅いサーブは飛来時間に余裕があるものと割り切り
・余力で苦手なサーブ種をチェック
ポジショニング
・サーブの打ち出しポイントが見える位置
・コースが読めていれば先に少しでも位置修正

こうした細かい積み重ねで『前の前のプレイ』が無いことによる予測のための時間不足を少しでも解消していきます。


さて、待ち受け姿勢からはいろいろなバレー技術本でも触れられている内容です。

バイブルとしている『基本から戦術まで バレーボール』では、サーブレシーブの待ち受けフォームについては何も触れていません。

実はこれ、自分と基本的な考え方が同じ。

きちんと動けてサーバーの打ち出しポイントが見えれば、極端な話、最初は棒立ちでも構わないと思っています。
相手前衛プレイヤーでサーブの打ち出しが見えないような時には、背伸びをしながら相手の肩越しにサーバーを見ようとしたこともあります。
逆に極端にしゃがんで相手の足越しにサーバーを見ようとしたり。
自分の場合はサーブの飛来経路をできるだけ長い時間見ることを最優先します。
これが正確な落下点予測につながります。

あまり関心しない技術本ほどサーブレシーブの構えについて写真やイラストを多用して、重心位置だの足の幅だの手の位置だの向きだの顎の角度だのと、細かく型にはめようとするのですが、サーブの起点がしっかり見えて動きやすければなんでもいいじゃんというのが持論です。

春休みに代々木体育館に行くと、女子コートでは監督の型にはめられたレシーバーがたくさん見られて面白かったりします。
足を肩幅の倍以上開いて、膝も付きそうなくらい低く構えたチームを見たことがありますが、「おうおう、気合入っとる」と思って笑いつつも、「ちょっと揺さぶればサーブで25点取れるね」などと思います。
カタチでプレイをする選手は崩す方法を見つけやすい。
同じ『型』の選手を揃えたチームならば同じ弱点を持つわけで、これでチームを一気に崩壊させられます。
高校男子では全く通用しません。だからこういうプレイは男子コートでは見かけない。

良い機会なので技術本を見比べて見るというのも面白いかと思います。
相手の攻撃意図とその対応を考えていない技術本ほど『型』が細かいかと思います。
これは「自分たちのバレー」の負の遺産でしょうか。
仕事でもなんでもそうですが、マニュアル化されていけばいくほど突発事態への対応力は失われていきます。
マニュアルを絶対視する人は人として弱いよ。

バイブルではスムーズな移動と重心の上下動を防ぐという点を最重視しています。
もちろんこれも重要。

自分流では、『待ち受け姿勢』の後の『移動』の段階でこの点に触れます。
待ち受け段階ではスムーズな移動につなげるために、体の一定の部位に極端な負荷をかけないことが大切です。
これが一歩目の動きを取るための抵抗になり、貴重な時間を失わせます。
待ち受け段階で重心の位置などに触れている技術書はお笑い本として取り扱いましょう。

相手前衛プレイヤーが邪魔しなければバイブルのとおり「スムーズな移動と重心の上下動を防ぐ」で良いと思います。
自分の場合は喧嘩腰でバレーをするもので、「○番、サーブ見えねぇよ。どけ!」などというと相手もムキになって2枚・3枚で視線を遮ってきたりしたもので、視線の確保を最優先することになったのですが。

でもサーブレシーブの上手なプレイヤーはそうそうサーブで狙われません。
強いチームほど事前の偵察はきちんとしているものです。
経験上、相手が強くなればなるほど自分にはサーブを狙って打ってきませんでした。
「俺にもカットやらせろよ」などとまた余計な事を相手プレイヤーに言ったりしていました。
見せ場が減ってムカつくじゃん。

まぁ試合前練習で千昌夫のほくろをピンポイントで狙う精度のレシーブをしながら、それでも荷重移動やらボールの軌道や球質への意識を見せる選手をサーブで狙う奴はそういないでしょう。
相手も強い選手たちのほうが見る目が肥えてくる。
練習のための練習をやっている選手を見つければ、潰すのは楽です。

どうせ自分にはサーブを打ってこないと思いつつも喧嘩腰なのは性格です。
しかし思い返してみると、これが他のレシーバーの視線を確保することにつながり、今考えると、チームメイトへの間接的な援護になっていたのではないでしょうか。
当時はそんなことは考えずに喧嘩を売っていましたが。
だからネット際で転倒した時に、相手プレイヤーに蹴りを喰らったりする。
プレイで3倍返しをしたけれど。

バイブルで触れられているのはスムーズな移動と重心の上下動を防ぐということと、ハンドアップハンドダウンという手の位置の2種類だけ。

この手の位置の類別は、ファーストタッチのダブルコンタクト(ドリブル)の基準が緩和されたことによって、サーブレシーブでオーバーキャッチが使えるようになったことによって出てきた考え方だと思います。
ルール改正によってこうした新たなポイントを盛り込んでいるあたりもバイブルのバイブルたるゆえん。
レシーブポジションによって使い分けると、運用の自由性を持たせているあたりもさすがバイブルです。

オーバーでのサーブレシーブは自分たちの時代のルールではほぼ確実に反則を取られたので、自分流技術論では何も経験談を書けませんが、現役プレイヤーの方はいろいろ試行してみてください。
考えて試行する事はなんでも楽しい。

マニュアル族の人は最高で80点までの仕事しかできません。
ちなみに指示待ち族の人は最高で60点まで。
これはバレーでも一般社会でも一緒。
100点満点で120点ということだって学校のテスト以外ではよくあることです。
減点法の考え方では永遠に到達できない領域。
スポーツはこの領域に簡単に踏み込めて、はっきりと結果として現れるところが魅力です。


待ち受けは『待ち』じゃなく仕掛けのひとつなんだということを盛り込みたくて、予定よりも少し長くなってしまいました。
前回触れた『意識的運動』にも関連してくる話です。
スペースを空けて相手サーブを誘い込む…などといったチーム戦術要素などにも触れると話が広がりすぎるため今回は個人技術に限定して我慢しましたが、やはりこうしたこともチームとしての『意識的運動』です。

移動についても今回書く予定でしたが、こちらも長くなりそうなので次回に回します。
相手がサーブを打ってから落下点予測位置に動くまでの時間の話になります。
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いろいろなブログやネットニュースを見ていると、アルゼンチン戦の最終セット、リードしながら追い上げられた場面で『イタリア戦の悪夢がよぎった』という話が多いことに気付かされました。

ん?よぎったか?

日本がオリンピックに出場するための最後の一撃はエースでしょう。
オーストラリア戦の時の記事でも最後のトスは荻野と書いている。

最後のトスは山本ではなく荻野。これを忘れずに。
ゴッツでもええよ。
ここが日本バレーを継承する正統ライン。バレー馬鹿。


最後の1点を荻野に取ってほしいという感傷的な意味ではない。
そのほうがドラマティックだとかいう安っぽい演出を求める気持ちでもない。

今回のOQTは、日本男子バレーの伝統の継承がなされるかどうかのラストチャンスだった。
16年ぶりのオリンピック出場に王手がかかった試合。

もし日本がオリンピックに行けるとしたら、最後の1点は荻野か石島、日本バレーを継承する責任をきちんと背負っているどちらかのプレイヤーが取るだろうという確信みたいなもの。

バレーボールの神様は第4セットの宇佐美投入で日本に対してそっぽを向いた。
繰り返し『最後は山本に上げちゃダメ』と書いてきたが、宇佐美はマッチポイントになったら間違い無く山本にトスを上げたことでしょう。
ベンチの宇佐美投入の思惑にも本人にアテネの雪辱を果たさせるという意味合いがあったでしょう。

でもね、昨日のアルゼンチン戦というのは宇佐美・山本がアテネ予選の屈辱を晴らすなんていうちっぽけな意味の試合ではなかった。
自分越えなんて事は別の試合でやってくれっていう話だ。

『大事なところで点を取れるプレイヤーになりたい』
メディアがエースとして期待するプレイヤーが決めきれない時に口にする言葉です。

でもこの言葉を考えてみるとおかしな話です。
そうした選手の目は、言葉通り大事なところで決めきれない自分に向いている。
そしてイメージする目標は大事なところで決める自分。
その先にあるイメージは、大事なところで点を取って輝いている自分。

エースって、そんな安っぽいものか?
自分の所属する集団の大小を問わず、その期待や不安を全部背負って、いつでも自分を捨てる覚悟ができているのがエースじゃないのか?
そして誰が何と言おうと大事なところで点を取れると信じて疑わないのがエースじゃないのか?

満身創痍の高齢プレイヤー。
スタメンではない彼が「みんなをオリンピックに連れて行く」とはっきりと言う。
全日本に復帰してからずっと、いつでも潰れる覚悟だったでしょう。
もし自分が潰れても、その姿を見て若い世代が何か感じ取ってくれれば充分。
きっとその世代が自分が潰れる瞬間を見て意思を引き継いでくれるはず。

そしてその意思の正統後継者候補として白羽の矢が立った若者。
泥臭いプレイスタイルをカッコ悪いと思わないアホ。
一時期その雄叫びがTV局の宣伝材料としてもてはやされたけれども、それで浮つく気持ちを全日本監督は引き戻し続ける。
自分の事でキレたりすれば胸倉を掴まれて叱責を受ける。
昭和スタイル。
誰よりも怒鳴られてここまで来た。
所属チームの監督は温かい目で彼を見守る。
チームのために戦った試合では、負けても彼をねぎらう。
今はたとえコートから外されても、替わりに入った満身創痍の高齢プレイヤーから目を離さない。
自分のあるべき姿はそこにあると見定めた。
外されて悔しいというような感情はそこには無い。


アルゼンチン戦第5セット終盤、山本が連続でスパイクミスをする。
イタリア戦を多くの人が思い出したのがこの場面。
山本は山本の役割をしっかり果たしている。ポイントゲッター。
試合中盤まで苦しいトスを得点に繋げたり、サーブで攻めたり、ブロックポイントを取ったり。

自分には最後は荻野だという根拠の無い確信がある。

荻野は後衛。
バックアタックはまず無い彼が前衛に上がるまでは勝負は決まらない。
だからしばらくデュースが続くよ。
根拠の無い確信。

そのお膳立てをしていったのはゴッツ。
厳しい局面を決めてローテを回していく。
そしてゴッツのサーブ。対角の荻野が前衛に。

ゴッツのサーブがポイントをもぎ取る。
この場面で勝利を呼び寄せるのがエーススピリット。

そしてマッチポイント。
トスは最後、荻野に上がる。

ブロックが3枚付く。

この場面で3枚ブロックと真っ向勝負するのがエーススピリット。
荻野が決められなければしょうがない。
オリンピックに行けなくても、日本のバレーが断絶しても、しょうがない。
全てを背負って打ち抜くのが真のエース。

エースとは素質の無いものが成長してなっていくものではない。
もともと持っている原石を磨いていくもの。
そしてエースが本物であれば、必要とされる時にその役回りが自然に巡ってくる。

勝敗なんてのはわからないよ。
相手も必死だから。
でもね、勝っても負けてもその目に見える結果は些細なこと。
最後にエースがエースとして戦ったかどうかが大切。

荻野は打ち切り、試合の勝利も手にした。
これはきっとバレーボールの神様からのご褒美。
全て背負いきったとバレーボールの神様が認めた。


今日のアルジェリア戦、荻野はアップゾーンから試合を見守った。
最後の1点はゴッツ。
全日本男子は次のステップに進んだことを感じました。

休む間も無く来週からワールドリーグが始まります。
http://www.jva.or.jp/world/2008/worldleague/index.html

グループ戦、全てを出し切った後だけに勝ったり負けたりはあるでしょうが、勝ち進むチャンスはあるでしょう。
ファイナルラウンドに出てくるのは、ホームのブラジルの他はロシア・アメリカあたりが濃厚。
OQTでは出会えなかった強力なサーブで殴りかかってくるチームです。
オリンピックの前にこうしたチームとやっておいて対策を準備しておきたい。

休む間もありませんが、夏まで全力で戦ってください。
その戦いぶりをできる限り見守っていきたいと思います。
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