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ボールの正面って何?
今回も『ボールの正面』という言葉を考えていきます。前回はこちら

さて、サーバー・セッター・レシーバーと一直線に並ぶ図のようなサーブレシーブ練習を始めていきましょう。


これも前回使用した図です。
自分はまず『ボールの正面』を図のようにイメージしました。



つまり黄色の部分を体として、体の幅をつなぐ線(赤線)をボールの入射方向(黄線)に対してとにかく徹底的に90度にすれば、ボールの反射方向は入射方向と同一になる。

合言葉は俺は壁になるんだ!

セッターはこの練習の原則としてサーブの進行方向ライン上にいるのだから、サーブレシーブしたボールはセッターのいる方向に返って当たり前です。


自分はまず、体のあらゆる面をボールの入射方向に対して90度で捉えて練習することに徹底的にこだわりました

サーブを打つ人によってボールの回転には癖があります。
大学生のOBコーチがサーブを打ってくれている時は素直な軌道で飛んでくる逆正回転のボールが来るので、自分の目的に合った練習がしやすい。
しかし同期の仲間や後輩が交替でサーブを打っているような状況では横に飛んだり変化を起こしたり。

でも、こういうケースは応用問題と考えて、とにかく入射方向と反射方向が90度に近くなるように体の方向を向けていきます。

ここまでの事で応用問題となるケースもただなんとなく練習していた頃に比べてはるかにコントロールできるようになっているはずです。
練習の前提条件となる理想的な状況でサーブが来た場合は、ボールの飛距離や球質はともかくほぼ100%セッターの方向にボールが返るようになるはず。
なぜなら俺は歪みの無いフラットな壁だから。

もしこの段階でセッターを横に動かすようなサーブレシーブしかできていないようであれば、自分が正面だとイメージして行っている動作に歪みがあることを疑ってみるのが近道です。
小学生程度で学ぶ物理法則を疑って、これを論破する理論構築するのはおそらく一生という時間と膨大なエネルギーを必要とするでしょう。しかも死後何年も経ってその理論が認められるなんてこともザラ。
それじゃ試合に間に合わないじゃないか。

まず正面から来たボールが相手方向に正しく返らないなら、鏡を見て自分のフォームを正面から見て確認しながらイメージトレーニング。
体を右肩上がりや左肩上がりで動かす事が癖になっていたりする人は案外多いものです。

自分はこの段階で手の組み方も試行錯誤しました。
自分が完全フラットな板になるために、手を組まずに合わせる事を試したりもしましたが、自分にとっては右手に左手を添えて包みこむ形が最も動きがスムーズで、ズレも少ない。
個人差もあるでしょうが、とりあえず一度意識化した上で試して、最も自分に合ったもので再び無意識化してあげると良いと思います。

教則本には『どの形でも使えるように』というふうに書かれているケースが多いと思いますが、突発事態になればなるほど反射的に自分のベースとなる手の組み方を使う事になると思いますので、ここは意識化→選択→無意識化の流れでベストと思うものをひとつに絞って練習したほうが効率的です。

自分は夏の基礎徹底見直しの時期にたまに組み手を逆にしてみたりしたこともありましたが、日々の練習で積み重ねた精度ってのは恐ろしいもので、組み手を逆にした時のボールコントロールの精度にイラッとしたものでした。
それでも1000本パスのうち数十本は組み手を意識的に違うものにしてみたりする事も大事。
おそらく日頃は自分に合った組み手で毎日微細な修正を行っているので、逆手にした時の差はさらに広がるのでしょう。
それを基礎練習で意識化した上で再び無意識化させる。
この記事を書くために3種類の組み手をあらためてやってみても、20年以上経っているのに、逆の組み手をすると全身が違和感を覚えます。


応用問題となるケース、自分が左右に動かされるような状況でうまくセッター方向にボールが返らないならば、入射と反射を即座に判断できるようにする事を考えていけばよいでしょう。

当ブログを読み込もうとするようなマニアックな方ならば、当然練習開始前にみんなより早く体育館に集合しているはずです。
その日の個々の練習目的や目標を考えながらストレッチをしたり軽くウォームアップをしたりボールに馴染もうと何かしていることと思います。
体育館に誰よりも早く来ることが大事なんじゃない。こういうことを確認する時間が欲しいから早めに体育館に入るのだ。
早く来るために早く来るというのはちっとも美徳ではない。(←これ大事)
掃除当番の日はテキパキと掃除を片付けて、ダッシュで体育館に向かいます。

そういう立派なバレー馬鹿のみなさんは体育館の壁を相手にキャッチボールやパスやグランドスパイクをするような時に、真っ直ぐ正面からだけではなく、壁に対して角度をつけてやってみると楽しく一人練習ができるはずです。

壁にこのくらいの角度で当たるはずだから、ボールはこの辺に戻ってくるはずゲーム
跳ね返ってくるボールの角度を予測して、自分のプレイの直後に移動をしてボールを待ち構える一人ゲーム。
慣れてきたらボールに不規則な回転をつけてみたり、壁ではなくネットを相手にやってみたりとバリエーションを増やしていく。
ほら。楽しい。

応用問題のうち、不規則な回転や急な変化への対応は、とにかく飛んでいるボールの回転をしっかり見るという事くらいしか思いつきませんでした。

今はカラーボールになっているのでボールの回転を見るのもかなり楽になっていますが、昔はボールといえば白だったりベージュだったり。
あ、ベージュってのは汗やほこりや血や涙やゲロを吸って変色したボールね。
色が変わりすぎたボールは外練習用のボールになって、さらに砂や泥で変色します。
「ビーチバレーは風があるから難しい」?
インドアバレーをやっていたけれども風の予測は当然。
バレーは飛んでくるサッカー部のボールや硬式野球部のボールも警戒しながらやるものです。

動いている物体を正確に見極めるという練習は自分の場合は通学途中にやっていました。
ホームに入線してくる電車を最大限に利用する。

元ネタは70年代のスポ根アニメからの着想で、走っている電車の車内吊り広告を読むっていうものだったと思います。
これは80年代的にアレンジして、顔を動かさずに車内の人の顔を見るということをやっていました。
まぁ要するに、電車に乗っている美人探しですね。

この練習のつらいところは、次の日にその美人が乗っていた車輌の停車位置で待っていてはいけないという基本ルール。
このあたりが80年代風味のスポ根です。

毎朝同じ電車をターゲットにしていると、乗っている人や乗っている位置がだいたいパターン化している事に気付いたりするので、時々通学時間を変えたり、利用路線を変えたりしていました。
ん、利用路線を変えるのは毎日同じ路線で学校に行くのでは飽きてしまうから、という理由のほうが大きい。

70年代風味で近所を走る貨物列車の貨車の記号を読むなんてこともやっていました。
「EF15・ワム・ワム・ワム・ワム・タキ・タキ・タキ・タキ・ワム・ワム・ワム・ヨ」とか。
「EF66よりEF65のほうがカッコいい」とか「EF65は1000番代が好き」とか「日立って電気機関車作っているんだ」とか、パワフルな電気機関車に憧れる気持ちを抑えるあたりが80年代のスポ根。

まぁ体育館でボールに触っていなくてもバレーボールに効果のあるんじゃないかっていう練習はいろいろ考えられます。
そんな練習をいろいろ考えるのは楽しいし、やっていても楽しい。
現役プレイヤーの人は21世紀のスポ根を考えて楽しんでみてください。

次回も『ボールの正面』について。
ここまでの練習で自分がぶち当たった壁について触れる予定です。
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技術カテゴリーはだいぶ久しぶりの更新になります。
当初、上半身と下半身を分けて話を進めようと考えていましたが、まずパスの練習で必ず誰もが何百回も言われる『ボールの正面』という言葉を考えていきましょう。

サーブレシーブなんてただのアンダーパスじゃねーか。

これが当ブログの合言葉。
つまりベースとなるアンダーパスをきちんと考えていけば、サーブレシーブも一段階上手になる。

何が理に適っているのかを考え、意識して練習をすることで、技術は向上します。
基本の部分だからこそ、その理が応用できる範囲も広い。
基本の部分で何かひとつを開眼すると、応用できる範囲のさまざまな技術レベルが一段階向上するのです。
広範囲でプレイレベルが一段階上がるから「飛躍的にうまくなった」という印象を受ける。

「飛躍的にうまくなる」の構造を考えるヒントも出しつつ、話を進めます。
「毎日夜中まで練習した」とか「1日10時間以上練習した」とかって、「私は頭が悪いです」と言っているようにしか聞こえません。
選手がそれを精神的な支えとして試合に臨むというのはあるかもしれませんが、まぁそれもちょっとねぇ…
考えて集中して猛烈に練習していたら、4時間でぶっ倒れるはずです。違う?

まして指導者がこれを口に出すのは・・・
指導方針が合理性をもって体系化できてないって自分で言っちゃっているようなものでしょ。


ボールの正面って何?
バレーボールを始めるとまず最初に教わるのは、サーブでもスパイクでもブロックでもなく、オーバーパスとアンダーパスのはずです。
バレーボール最大の競技特性である味方同士の連携に最低限必要になってくる技術。
これができない選手をコートに立たせるのは、相当のリスクを負うレベルを通り越して『無謀』です。

東レアローズ女子の公式HPにワンポイントレッスンというコーナーがあるのですが、やはりここでもパスのレッスンから始まっています。
ここのアンダーパスのレッスンでも『ボールの正面』という言葉が使われていますね。

パス技術習得の段階で何百回も「ボールの正面に入れ」「ボールの正面で受けろ」という言葉を指導者から受けることになるのですが、この『ボールの正面』の定義については指導者は何も教えてくれなかったりします。
そんな質問をぶつけようものなら、「そんな事もわからんのか!」とワンマンになったりするのが昭和スタイル。
その手の指導者はワンマンの後に「わかったか」というばかりで、質問の内容には答えてくれないというのも昭和スタイル。

平成20年も過ぎていますが、まだまだこの手合いの指導者は多いですねぇ。
自分の場合は同期から1年以上も遅れ、中学チーム編成が終わった後の途中入部だったもので、質問の機会すらなかったのでした。
東レのレッスンVTRでも「ボールの正面で」とは繰り返し言っていますが、「正面の定義」については一言も触れていません。

そこで中学の同期キャプテンに「協会が出している技術レッスン本は無いのか」と、スキーの教則本を見せながら質問をしたことがあるのですが、「知らない」との事。
そのスキーの教則本は技術面で迷ったらこの本に戻れと言われたもので、当時盛んだったスキーよりもはるかにプレイヤー人口が多いはずのバレーボールにこうした協会主導の技術教則本が無いことが驚きでした。
でもそれゆえに玉石混交のバレー技術書が出版されていて、読み比べていくと笑えるものもあったりして今は面白い。
ただプレイヤーとしては困った状況なのは今も続いています。

そんなわけで、中学時代の自分は『ボールの正面』について哲学することになったのでした。
その思考過程を追っていくと、何かサーブレシーブのコツがつかめてくるはず。

最もシンプルな形のサーブレシーブの練習をイメージしたのが左の図です。
サーブはレシーバーの正対方向から飛んできて、目標となるセッターもレシーバーの正対方向にいる形。

便宜上イメージにはネットを置いてありますが、コートを使って練習できる場合はこういう形での練習はしないと思います。
コートが使用できない時に、コート横のスペースで行うサーブレシーブの練習を想像してください。

シンプルなサーブレシーブ個人技術の練習方法ですが、考えて試行する要素はとてもたくさんあります。






この練習の場合、ボールの飛来方向とボールを送る先のセッターの方向がいわゆる『正面』の同方向になります。

都合よくボールが自分のいる場所にきれいに飛んでくることはありませんので細かい修正は必要となるのですが、理論的には入射角反射角が同一方向。
つまり手で作るボールを受ける面を直線の板として考えた場合、ボールの進行方向に対して90度の角度で当ててあげれば、物理的にボールはセッターの方向に返ります

少し余談になりますが、この入射角反射角という言葉はボールをキープすることができないバレーボールという競技において、全ての考え方の基本になります。
サーブレシーブだけでなく、強打に対するディグも、ブロックアウトを狙うスパイクも、ブロックもこの応用です。

ブロックで応用を効かせるためには絶対的な高さが足りなかった自分ですが、スパイクではブロックのどの部分に当ててどこに弾き出すかというのを計算ずくでやっていました。
指先を狙ったワンタッチなんてのは審判が見逃したら終わりですからね。

この入射角反射角について触れたのを聞いたことがあるバレー解説者は、今のところ佐藤伊知子(80年代後半の全日本女子プレイヤー)だけです。
彼女も170センチ級の小型選手。やはり脳みそも使ってバレーをしていた事がうかがい知れます。

話を戻して…
手を組んだ面を板として考えていく時に、実際にはボールをどのくらいの高さに上げるのかという俯角も考えていかなくてはいけません。
同時に入射してくるサーブの威力を見極めて、どれだけの反発力をボールに与えるのかを瞬時に判断しなくてはなりません。


人間の体は外部からの圧力を感じた時に、反射的に反発力を生み出して体のバランスを保とうとします。
こういう無意識の行動も意識化した上で、ボールのエネルギーをどのように利用・吸収・分散するのかを考える必要もある。

これら全てを同時に語ろうとするのは自分でも混乱する可能性がとても高いので、俯角は割愛してエネルギーに関しても最小限にしながら二次元的に話を進めていきたいと思います。
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基本はアンダーパス
前回、ランニングアンダーパスの練習の話のところで、ランニングもローリングもフライイングも技術の同一延長線上にあるものだという話をしました。
移動距離に応じて使い分ける選択肢として考える。
基本中の基本はボールの落下点への全力ダッシュ。
落下点で間合いを作ることができない場合に適切な手段を選択できるかどうかがポイント。
ということは、個別にそれぞれの技術練習を時間をかけて行うのは無駄。

さまざまな技術を個別のものとしては考えず、共通点を見出してシンプルに考える。
共通する項目を基本として、応用を意識しながら練習を積み重ねる。
合理的でしょ。

で、サーブレシーブを考えていくと、基本はアンダーパス。
「アンダーは普通にできるけれども、サーブレシーブが苦手」とか言わない。
サーブレシーブに特別な苦手意識を持っている時点で、アンダーパスの基本として考えている意識の範疇が狭い疑いあり。
ましてそれに気づいていないと受け取られるような発言は恥ずかしい。

サーブレシーブなんてただのアンダーパスじゃねーか。

これを合言葉にこの先の話を進めていきましょう。
ルールの改正でオーバーハンドでのサーブレシーブも大丈夫にはなりましたが、ここではアンダーでのサーブレシーブ技術について考えていきます。

サーブレシーブするボールの特徴は?

チャンスボール!

サーブレシーブ!

上のイメージを見ると一目瞭然。
ふつうアンダーパスをする場合、飛来するボールは垂直方向の動きが大きくなるのですが、サーブの場合は遠距離から打たれる分水平方向の動きのほうが大きい。

高く上がったボールはボールが軌道の頂点に達した段階で運動エネルギーの大半を消費しているので、ボールがよほど高く上がらない限りボールの落下による加速度をそれほど意識しなくても処理できます。
サーブのボールは軌道の頂点を超えても水平方向への運動エネルギーはまだまだ残しています。

だから別の技術…と考えるのではなく、同じ技術と考えてしまいましょう。
合言葉は?
そう。サーブレシーブなんてただのアンダーパスじゃねーか。

アンダーパスの基本概念に
ボールの運動エネルギーの減衰と反発力の利用
というのをしっかりとインプットしましょう。

そうすればほら、普通のアンダーパスのパス質も大きく改善されるはずですよ。
次の味方プレイヤーに優しいプレイ。これ、バレーボーラーとしての基本姿勢。

ついでに視点を上に向けなくて済むので、自分の位置を正確に把握もできてボールの送り先の目標を周辺視野に捉えながらプレイできるサーブレシーブのほうが楽な面も見えてきます。
ほら、千昌夫のほくろを狙える精度も不可能じゃない気になってきた。
まずそういう気になることがとっても大切。

練習のアップ段階でアンダーパスというのは必ず組み込まれているのですから、この時に減衰反発を意識して行うことの積み重ねで通常のアンダーパスもサーブレシーブも大きく向上するはずです。
毎日のルーティンワークを何も考えないで続けるほどやっていてつまらないことは無いしね。

天井サーブというやっかいなサーブも世の中には存在するのですが、まぁそれは考えないことにします。
相手に本当に嫌な天井サーバーがいるなら、天井の低い体育館で試合をするという対抗策があります。
ナショナルチームのホームゲームなら可能。

学生レベルだと、それほど嫌な天井サーバーなんて出てこないはずです。
だってどこも毎日天井サーブを打ち込めるような体育館で練習していないから。
もし打たれたらとりあえず真上に。
セッターに入れるのは難しいけれども、真上に上げる事はきちんと減衰と反発を意識した練習をしていればたやすいはず。
だって垂直近い角度で落下してくるボールをそのまま垂直に上げるのだから、この後話しが出てくる入射反射が等しい関係になるのだ。

次回のテーマは上半身の話が先か下半身の話が先かでだいぶ前から考え中です。
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移動と間合い 前編はこちら


間合いについて。
移動の話の段階でも間合いについても何度か触れてきました。
しかし間合いについては技術解説本ではまず触れられていないのではないでしょうか。

よくコチキャラで高校生女子にランニングアンダーパスをやらせている練習を見るのですが、遅い移動速度でボールの落下点に入る練習を100本するのならば、急加速・急制動でしっかりと間合いを生み出してアンダーパスをする練習を10本だけ真剣にやったほうがはるかに効果的だと自分は思っています。
練習時間も短くてすむし、その分一本一本に集中したほうがよい。

見た目の猛練習よりも頭脳と肉体をフル回転させた真のハードトレーニング。
ダッシュと制止にかなりのパワーを使いますので、スピードを調整しながらダラダラ走り抜けるよりも移動距離は短くても実はハード。
こうやって落下点に迅速に入って自分と次のプレイヤーとの位置関係から意識的にボールをコントロールしていく。
移動が速ければ速いほど、制止がスムーズであればあるほど、間合いを生み出せば生み出すほど、ボールコントロールに使える時間が増えてくる。
こうして意識的プレイを可能とする範囲を広げていくことこそがバレーボールでは重要だと思っています。

ランニングアンダーパスが必要な状況というのはその延長線上にあります。
それでも届かないその先に届くためにあるのがローリングやフライイング。

こうした同一線上で考えられる枝葉の技術を個別のものとして分けて練習するから練習時間も長くなるし、いざという時に必要な技術が引き出しから出てこなかったりすると思うのです。
ランニングパスやらローリングやらフライイングやらはレシーブの基本技術の延長線上にあるプラスアルファの技術。

足を一歩も出さずにフライイングする選手って、見ていて気になりませんか?
そのようなプレイを繰り返す選手には、ダメ選手の烙印を押すのが自分です。
基本技術で対応できる範囲を広げる意識が全く無い証拠。

バレーボールは2つ前のプレイから予測を元に動き出し、自分が介在したプレイから2つ先のプレイにまで責任を持つスポーツです。
サーブレシーブの場面ではできる限りセッターがトスを上げやすいボールを供給して、アタッカーがスパイクを決めやすい状況を生み出す。
自分がよく文中で「送り届ける」という言葉を使うのは、自分が介在することで次のプレイヤーが少しでも良い形でプレイをできる状況を生み出す意識を強調したいため。
それを形にするには、ダッシュと制止を全力で行って、あらゆるプレイをできる限り意識的行動にしていく事が必要です。
それを持っているかどうかを見て判断するのが間合い。
スパイクやブロックなどの空中動作でもこうした意識的行動は求められますが、相手が強力なジャンプサーブの場合を除けばサーブレシーブという技術はその意識をプレイヤーが発揮しやすい。

ローリングやらフライイングなどは基本習得に3日もあれば充分です。
自分のいたチームでは1日基本をやったら即座にワンマンやらされました。
慣れてないからそりゃ最初は痛いよ。
痛くならないツボを習得するのに1週間。これが無理や無駄の無いフォーム。
あ、ランニングパスなんぞ下手なローリングやフライイングをして痛い思いをしたくなくて、その時ついでに覚えるものです。
わざわざ個別の練習をする意味がわからない。

基本の習得後は意識的行動のための練習を核に据えたら、特別な練習は必要無いと思っています。
アップを兼ねてやる対人や3メンやシートレシーブで充分。
それらの技術が必要に応じてスムーズに引き出しから出てくるように意識的にやればよい。
監督やコーチの選手への罵声とかは必要ありません。

選手の意識に疑問を感じている指導者の方は、たまにワンマンをしてみると良いかもしれません。
ワンマンは指導者の感情でやったら効果はマイナス。
良い子はそれでも動きますが、良い選手はその意味や目的に納得がいかなかったら動きませんよ。

指導者が選手にその指導目的を理解させることができた上でワンマンをやった場合を前提に話を進めます。
他の選手がシングルハンドのランニングアンダーで上げる距離を「チャンスボール」と叫びながらダッシュして落下点に潜り込んで、オーバーで返すような選手が良い選手。
指導者としてはさらに遠くに難しいボールを上げる事になると思いますが、これによって本当の意味でのランニングパスやローリングやフライイングの練習を行う事になります。

まぁ、こういう選手はワンマンスタートから1分も持たずに真っ先に潰れますが、指導者の人は罵声を浴びせないようにね。
やるべきことをやる意識があるからこういう選手は真っ先に潰れるのです。
こうした選手は放っておいても体育館の壁にフライイングで突っ込んで、いかに空中で身を翻して身体的ダメージを少なく壁に激突しながらもボールを上げるかとか、怪我をしないパイプ椅子への突っ込み方とか、試合ではほとんど出す機会のない技術も身に付けていきます。
さらにそういう選手は試合前に体育館のコンクリの柱の角やポールを見つめて、「ここに頭を激突して頭を割らなければ取れないボール、どうする?」と自問自答します。
さすがに最近は見かけないですが、ささくれ立ったネットのワイヤーを見つめ、「ここに突っ込んだら失明するな…ボールが来たらどうする?」と自問自答します。
そして『突っ込む事が常に正しい』と常に結論付けて試合に臨みます。
チームメイトの日頃の練習への意識の低さに納得がいかなくても強引にそのように結論付ける。
それでチームが勝てるかどうか怪しくても、自分が潰れたら絶対に試合には勝てなくてもそのように結論付ける。
いろいろな想いが交錯してなぜか目から大量に汗が出てくるのですが…

力をセーブし続けて長く走り回った選手を褒めるのがワンマンの一番良くないパターン
ゲロも吐かず、血も吐かず、怪我もしないで10分も20分もワンマンでダラダラ走る選手はダメ選手です。
開始1分で潰れろ。
よく根性の証明かのように「○○選手は高校時代1時間以上のワンマンに耐えた」などと聞きますが、その間他の選手はどうしているんだ?と疑問に思います。
貴重な練習時間がもったいない。
そのような練習は長いワンマンを想定して最初から力をセーブする良い子しか生み出さないと思うし。

で、こういうゲロを吐いたり血を吐いたりネットのワイヤーで顔を切ったり体育館の壁に激突して頭から血が出たり体育館を仕切るネットに絡まったりポールに突っ込んで肩を脱臼したりするような正しい良い選手ならば、『間合い』の重要性も即座にピンとくるはず。
だって次のプレイに繋げるために即座に身を挺する覚悟があるということだから。


間合いを作って何をするか。
間合いを作ってまず最初にやりたい事は、セッターの位置の把握とコンビネーション攻撃に参加するプレイヤーの位置の把握です。
まずセッターが出遅れるというケースは考えにくいですが、他の選手とぶつかって出遅れるというようなことも無いことはありません。
そんな緊急事態の場合はセッターを援護するためにレシーブを遅く高めに。

そしてサインに基づいて、最も速い攻撃を担当するプレイヤー(通常はセンター)が助走のレディポジションにきちんと入れるかどうかをしっかりと確認したい。
最も速い攻撃を担当するプレイヤーがレディポジションに入れるならば、それと連携するプレイヤーもスタンバイに間に合うという前提で、レシーブの速度と高さを決定します。
そう、レシーバーがレセプションからの攻撃テンポを作り出すのです。
これについては実際のレシーブの所でもう少し詳しく触れていきたいと思います。

確認といっても目線は迫ってくるサーブから離さないように。
セッターや他のプレイヤーの動きを周辺視野で捉えます。

それから最後にサーブの落下点予測の最終修正を行います。

最も破壊力を感じる一定回転のドライブがかかったスピードボールの場合は軌道や落下点の予測がほぼ可能であるので、移動がきちんと完了していればまずはセッターにボールを返せるでしょう。
ドライブにひねりを入れた場合は予測が多少難しくなりますが、移動さえ完了していれば重心のコントロールで対応できるはず。

やっかいなのはフローター系。
特に高速フローター系サーブの場合はこの修正を行うための時間がほとんどありません。
自分の経験では伸びてくる球質のボールの変化に苦手意識を持ったままだったのですが、今はルールも変わりファーストタッチのダブルコンタクト規制緩和からオーバーによるレセプションも可能になっているので、手元での急激な変化にはオーバーも使えます。
この切り替えの判断をするにも『間合い』を作ることを意識したほうが良いと思います。

レシーバーがサーブに対して落下予測点に迅速に移動しているのですから、他のプレイヤーはサーブレシーブ体勢をそれだけ早く解除することができます。
サーブを受けるプレイヤーが早めに意思表示しているのですから接触の危険性も減りますね。
落下点に合わせるような移動が最もプレイヤー同士の接触を引き起こします。
他のプレイヤーはサーブに対してジャッジし、次のプレイへのスタンバイを開始していきます。
間合いがあることで早めのスタンバイが可能になり、次のプレイの精度をさらに高めることが可能になってきます。
そして間合いを取った意識的なサーブレシーブの球質がチームの攻撃テンポを作り上げていきます。


次回はいよいよレシーブ動作に入ります。
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移動と間合い 前編はこちら


次に移動について。
バイブルではスムーズな移動と重心の上下動を防ぐという点を最重視しています。

久々に登場したこの画像。

サーブレシーブ その4で人間の目は横方向の変化より縦方向の変化を認識するほうが難しいということについて触れました。
その時はボールの移動を定点で追うケースについて書いたのですが、プレイヤーが移動を行う場合もこれは当然当てはまります。

待ち受け姿勢の所で突っ立っていても構わないと書きましたが、これはあくまでもサーブの打ち出しの瞬間をしっかりと見るためで、この場合は移動からレシーブ姿勢を作る段階で修正が必要になってきます。
自分の場合は縦方向の収束をボールがネットを越える前にスムーズに行えたのですが、このあたりは目的の優先度と個人的な技術特性から優先順位をつけていけば良いかと思います。

移動で足を動かすのですから必然的に体の上下動というものが出てきます。
この上下動をいかに頭部に伝えないような形で移動を行うかが重要になってきます。

この際、腰から下半身の挙動でこの上下動を収束していくのですが、自分がよく例えに出すのがサード長嶋の守備の動き。
自分と同世代から上の世代の男の子は子供の頃、みんなこれを真似してきたはずです。
真似してきたから自然にできる。
視線をブラさないために上体を安定させるというのは全てのボール競技で共通する基本だと思います。
そのために必要になってくるのは強い下半身。

ボール競技以外でもこのような動作には共通点があります。
自分が少しかじったスキー(アルペン)では滑走面の凹凸を膝をサスペンションの役割をさせてギャップの衝撃を吸収し、クラウチングの時の頭の位置をキープさせて先の雪面状況をしっかりと見ていきます。
雪面の状況を読み取れなくなった直後、スキーヤーはすっ飛びます。
重心を谷へ谷へとコントロールしているので、飛ぶ方向は常に谷側。運が悪ければ首を折って死にます。
同様にスキー以上にやってきた水泳では上半身の不自然な動きは即座に水の抵抗として感じられます。無駄な抵抗が増えれば当然タイムロスします。
水泳の場合は死にません。

こう考えると腰を中心として上体を安定させるという事はボール競技だけでなくおそらくほとんどのスポーツで共通する基本。
そのためにしっかりした下半身を作っていくというのも陸上で行う競技ではほぼ共通するはず。
バレーボールでもレシーブだけでなく、スパイクやブロックでも共通する大切な基本です。
移動方向とは別ベクトルに上体が動くというのは明らかなエネルギーロスですし、人間が体を動かす挙動としても美しくない。

自分と同世代から少し下くらいまでの女の子は『スチュワーデス物語』というドラマを見てみんな頭の上に本を乗せて歩行練習をしたはず。
男だけども自分もした。
最近の日本トップレベルの女子バレーでは体を上下動させることで髪をふわふわさせるのが美しいという幼いメンタリティから抜け出せないような選手もいますが、例えばそのような選手によく見られるディグの時に一度上体を上げなければ一歩目が出ないようなプレイを見ると見苦しいとしか思えません。
無駄の無い安定感のある機敏な挙動が力を生み出します。それこそが真の美しさ。
みんな " target="_blank">『スチュワーデス物語』を見ればいいのに。後編は " target="_blank">こちら
「ムラサワ教官!救命ボート!」と気が狂ったように部屋の中で水泳のイメージ練習をするシーンは真似しなくてよいです。
ウケるので当時真似しましたけれども、松本千秋の水泳フォームは上半身がブレまくった酷いスイミングフォームです。

日常の練習で上半身を安定させた挙動を身に付けるには、アップの時にどこのチームでも行う9メートル走を意識的に行うのが一番手っ取り早いかと思います。
自分は送りステップとクロスステップと呼んでいましたが、足を交差させないステップと足を交差させるステップの両方でレシーブの高さを意識した安定した動きでの9メートル走を行っていました。
毎日1往復だったのでトレーニングとしてはたいしたことがないのですが、ただルーティンワークとしてやるのではなく毎日行う事を意識して行う積み重ねで他の選手との差が出てきたと思います。
こうした練習が自分のチームのメニューになければ、自主的なアップの一環として取り入れる事をお勧めします。

女子Vプレミアの試合前の練習時に、後向きでの9メートル走で明らかにワンタッチボールを背走で追うイメージで走っている選手がいて感心しました。
自分は前に突進していくタイプで、背走までは頭が回らなかった。
その選手は北京オリンピックに出場します。おめでとうございます。
この選手のようにルーティン練習をただルーティンとして行わず、意識的な練習にすることで蓄積されるものは大きいと思います。

また、レシーブに入る直前の『間合い』の段階で静止状態を作ることを理想とするので、いかに移動状態からスムーズに制動をかけるのかも重要になってきます。
自分の場合はこうした挙動をスキーのターンの時の谷足内傾荷重に共通点を感じておりました。
そのためスキーをしていた頃にウェーデルンのイメージトレーニングとして行っていた階段を降りながらの左右ステップを、バレー部に入ってからも体育館の階段を降りる時にやっていました。
頭の位置は動かさないようにして腰から下でストロークの短い旗門を通過するイメージ。
横に飛ぶストロークはいろいろ変えてみます。
歌の歌詞に合わせてみたり、勉強の暗記に使ういろいろなゴロ合わせのフレーズに合わせてみたりすると楽しい。
この蓄積は反復横跳びの数値ではっきりと成果が出ました。
学年で自分より高い数値を出したのは数名で、全員運動部の敏捷性が命の小型選手ばかり。

このイメージトレーニングでは谷足の着地と同時に山足を内傾荷重を利用して次の動作にスムーズに移行していくことが目的です。
人間の体というのは本能的に外からの圧力に対して等しい反発力を発揮しようとすると武道をやっている知人が書いているのを読んでふと気付いたのですが、今考えてみるとこの動作もその応用。
武道の場合はこの外圧をコントロールすることで相手のバランスを崩して倒すことを考えます。
例えば右ターンをする場合、足の内側を支点として左方向にかかる横Gを右へ動くエネルギーへとスムーズに転換する。

余談ですが、このイメージトレーニングは今考えると足首周りの腱を保護するための筋力強化にも繋がっていたと思います。
着地でバランスを崩して反射的に体勢を整えるような時に、捻挫防止のためにも役立っていたのではないでしょうか。

レシーブの場合は左右にステップをする場合は当然体には横Gがかかってきます。
人間の体は谷足の内側(スキーのエッヂ部分)を支点に内傾を作りながらその横Gに対して反発力を生み出してバランスを取ろうとします。
この反発力が横Gを上回った力を利用して山足を次の谷足に移行させるのが最もスムーズ。

レシーブのための制動では、横Gと反発力が等しくなった瞬間に止まるのが最も安定します。
どれほど横方向のGが増しても、適正な反発力が発生する瞬間に山足に相当する側の後から出る足を適度な幅で添えた瞬間に制止できます。
この添える足を出した時点でレシーブの基本姿勢を完成させるのが理想的。
そうなればほら、間合いのための時間も稼げた。

前後方向への移動に関しても原理は一緒。
後ろへの移動は苦手だったので、『原理は一緒のはず』という言い方のほうが良いでしょうか。
基本の守備位置を後ろめにするのが一番手っ取り早いので、半歩あるいは一歩下がるという対応をしていましたが。

最後の一歩からレシーブの基本姿勢をスムーズに完成させるには、やはり落下点の正確な予測が必要になってきます。
その位置に迅速に移動して、最後の一歩をレシーブフォームを作るためのきっかけとする。
ここでボールの待ち時間ができるようならばウェルカムです。
それが間合い。
その時間を使ってやりたいことがいくつかあります。


この後続けて間合いについて書いていたら10000字の字数制限に負けそうだったので、とりあえずここまで。
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