全豪を見ていて思ったこと。

それは、常にテニスは進化しているということ。


今大会のフェデラーは全盛期に近い状態でした。

サービスもフォアハンドも切れていたし、
ボレーも相変わらず巧みでした。

バックハンドも進化してより強く叩いていました。

なのに、相変わらずナダルには負けてしまいました。

それだけナダルも進化しているということです。

守備力の高さは昔からですが、攻撃に転じる速さが違います。

より前に出て、よりアグレッシブにエースを狙っていく。

フェデラーが進化しても、それを上回る速度でナダルも進化する。

これではフェデラーはナダルに善戦しても勝てません。


ところがバブリンカはそのナダルを凌駕しました。

もちろんナダルが途中から背中を痛めたという
アクシデントはありました。

しかし、1セット目のナダルはまだ状態が良かったのに
バブリンカに押され続けてセットを奪われました。

バブリンカはフェデラーと同じく片手バックハンドです。

それなのにフェデラーを苦しめたバックに高く弾んでくる
ナダルのボールを、バブリンカは苦にしませんでした。

むしろバックに来たらそれをクロスやダウンザラインに
強打してナダルを押し込んでいました。

バブリンカはジョコビッチ戦でも完全に打ち勝っていました。

この時もバブリンカのバックはフォアと同様の
強力な武器となっていました。

バブリンカは同じ片手バックでありながら、
フェデラー以上の攻撃力をもって2強を打ち破ったのです。


準々決勝でナダルと対戦して惜敗したディミトロフも
同じく片手バックハンドです。

ディミトロフもナダル相手に拮抗した戦いを見せて
フェデラーも奪えなかった1セットを取りました。

片手バックハンドはスライスやドロップショットが
打ちやすいのでテニスに緩急をつけられます。

いまのテニスでは強打一辺倒では勝てません。

緩急をいかに巧みに使うかがポイント。

片手バックハンドは終わったテクニックかと思われがちですが
まだまだ通用することを、バブリンカとディミトロフが示しました。

テニスは進化し続けているのです。


フェデラーが登場して一気にオフェンスレベルが上がりました。

速いテンポでエース級のボールを打ち続ける攻撃的なテニス。

フェデラーのテニスは革命的で、フェデラー以前の選手を
全て駆逐してしまいました。


そして、そのテニスに勝つためにナダルやジョコビッチのような
ディフェンス能力の高い選手が登場しました。

どれだけ攻められても拾い続ける広い守備範囲と、
エース級のボールを打ち返しエースを奪うカウンター能力。

マレーも含めた3人はそうしてフェデラーを倒しました。

そしていまナダルやジョコビッチの守備力を打ち破るため
より高い攻撃力をもった選手たちが出てきたのです。

強打だけではなく、展開の速さと緩急の巧みさ。

ナダルを苦しめた錦織ももちろんその一人です。

そしてフェデラーが復活できるかどうかの鍵も
そのあたりにあるだろうと思われます。

その前にフェデラーは体調が万全であることが大事ですが。


まだ1~2年はせめぎ合いが続くことでしょう。

そう簡単には壁は崩せません。

しかし、数年後にはより進化した攻撃型の選手が
テニス界のトップに君臨するのではないかと思います。



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ウィンブルドンを見ていて思ったのですが。

マッケンローの頃、いやサンプラスの頃と比べても
ボレーが変わりましたね。

いや、ボレーの打ち方が変わったわけではありません。

むしろ打ち方が変わったのはストロークなのですが、
ボレーの使い方というか、決め方が変わりました。


ウィンブルドンはサーブ&ボレーが有効というのは
古来からの常識です。

マッケンローもエドバーグもサンプラスも。
歴代チャンピオンたちはサーブ&ボレー。

そしてしばしばアプローチからのボレー。

時にはリターン&ボレー。

とにかくチャンスを見つけては前に出ていました。

いまの選手たちもそれは一緒です。

隙あらばボレーに出てくるという意味では、
フェデラーも錦織も同じです。


ただ昔のテニスではファーストボレーをサービスラインでして、
そこから前に詰めてセカンドボレーで押し込み、
さらに次のボレーで決めるという展開でした。

前に出てきてボレーで粘るというのも結構あって
ラフターとかヘンマンとかもそういうイメージ。

マッケンローvsレンドルのようにスーパーボレーヤーと
超絶ストローカーがネットを挟んで攻防していたものです。


でも現代のテニスは違います。

ボレーは一発で決めるもの。

ファーストボレーをサービスラインで打って、
それからおもむろにセカンドボレーに出ていったら
大抵パスを抜かれてやられてしまいます。

ファーストボレーがエースにならないと
いきなりボレーヤーは守勢に立たされるのが今のテニス。

だから錦織もストロークで追い込んだと見るや
脱兎のごとくネットにラッシュします。

なるべくネットの近くまで詰めてそこから角度をつけて
ボレーを決めていきます。

サービスライン手前でスプリットステップを踏んで
悠長にボレーをしてからおもむろにセカンドボレー、
なんてやってられないのです。


サーブ&ボレーでもそれは同じ。

エドバーグならセンター深くにファーストボレーをして
角度をつけさせないようにしてセカンドボレーをしていましたが
錦織はファーストボレーをアングルにもっていきます。

今の高性能のラケットなら、センターに深いボールが来ても
そこからラケットを振り上げてスピンをかけ足元にも
アングルにも持っていけるし、スピンロブも打てるからです。

ドライブボレーを女子だけではなく男子も使うようになりました。

これもミドルレンジから一発でボレーでしとめたいからでしょう。

ラケットの高性能化でストロークが強力になったため
ボレーも一撃必殺になってきたということです。

プロの世界における技術の進歩はスゴイです。


まあ我々のレベルのテニスだと、まだまだマッケンローや
エドバーグ時代のボレースタイルで十分だと思いますけどね。

スプリットステップも踏まずにネットにラッシュしても
きちんとラケットに当たらずボレーミスするだけですし。


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クルム伊達公子について考えてみます。

 

42歳になった彼女は、全豪オープンにおいて

ランキング12位のナディア・ペトロワを

あろうことか6-2、6-0という圧倒的なスコアで下しました。

 

伊達のランキングは現在100位。

グランドスラムにおいてぎりぎり本戦に

ストレートインできるランキングです。

 

このスコアが逆ならわかります。

普通12位がこのスコアで負ける相手というのは

せいぜいトップ3くらいなものでしょう。

100位が、それも42歳がやれることでは到底ありません。

 

昨年は故障に泣き続けた伊達ですが、

体調を万全にして体の切れを取り戻し、

試合勘を養うことができれば

これほど質の高いテニスができるのです。

 

伊達がこれほどまでに強さを発揮できるのは

彼女の独特のテニススタイルにあることは間違いないでしょう。

 

「ライジングサン」と呼ばれたライジングショットからの

テンポの速い展開をするテニス。

 

同じタイプの選手が世界中どこにもいないからこそ

伊達はそのオリジナリティを十分に発揮して

42歳の今も世界の強豪を相手に戦うことがきるのです。

 

では、なぜ伊達のような選手が他にいないのか?

もちろん、伊達にしかない感覚を磨いたテニスだから

という答えは有効です。

 

でも理由はそれだけではないと僕は思っています。

 

伊達は20年近く前も今と同じライジングショットで戦い、

ついには世界4位にまで到達しました。

 

ただ彼女の引退は早すぎました。

彼女の全く新しいテニスを研究する時間も

真似をする時間も与えずに、

まだ25才の若さで伊達は引退したのです。

 

結果、世界は伊達のテニスを忘れてしまいました。

東洋の小さな女性が他に類を見ない独特のテニスをして

一瞬のきらめきを放った、

それだけが世界のテニス界に残された記憶なのです。

 

もし伊達があと5年現役を続け、トップ10を維持し、

一度くらいはグランドスラムタイトルを獲得していたら。

 

きっと世界はもっと伊達のライジングショットを

研究したでしょうし、伊達のフォロワーも現れたことでしょう。

 

しかし伊達が早々に引退し、その技術・戦略を封印して

しまったがために、伊達のテニスは広まることもなく

まるで「秘儀」のように奥深くしまいこまれてしまいました。

 

いま10数年の時を隔てて伊達のテニスは甦りました。

 

そして相変わらず彼女のテニスは秘儀のままです。

 

復帰してからの伊達は年齢との戦い、故障との戦いゆえに

たまにきらめきを放つだけで
テニス界の表舞台に常に立ち続けているわけではありません。

 

そしていつ再び引退するかわからない伊達のテニスを

時間をかけて研究する選手・コーチも多くはないでしょう。


しかも伊達のテニス自身は常に進化を続けています。

 

だから、伊達はまだまだ勝つことができると思います。

 

体力的な限界があるので、勝ち「続ける」ことは難しいですが、

たまにビッグアップセットをする可能性は常に秘めています。

 

上位選手にとって、これほど厄介な相手はいません。


イヤだと思うよ、自分の母親に近い年齢の選手に負けるのは。

 

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テニス日本リーグというものがあります。

 

テニス好きでも知らない人が多いし、

知っていても興味がある人なんて一握りかも。

 

もちろん一般ではほとんど知名度がありません。

 

日本の実業団スポーツなんて、大抵そんなもので、

しかも不況でどんどんスポーツから撤退する企業も多いので

どの競技団体も大変だと思います。

 

で、テニス日本リーグは毎年冬に開催されます。

ポイントのかかる一般大会のオフシーズンだから

選手が集まりやすいからでしょう。

 

まずは男女とも2ブロックに分かれてリーグ戦。

ファーストステージは先週末に行われました。

セカンドステージは1月後半。

 

そして2月中旬。

男子は各ブロックの3位以上、女子は2位以上が

決勝トーナメントに進出して王者を決めることになります。

 

試合はシングルス2本、ダブルス1本の団体戦。

なので強い選手が2人いれば勝ててしまいます。

 

しかし、強いテニス選手は日本リーグだけで

プレイしているわけにはいきません。

 

エースが出られなくなった時には誰が出るか、

チームの層の厚さが勝負を分けてきました。

 

今年男子は混戦です。

昨年初めて優勝したライフエヌピー、

若手とベテランのバランスが良いイカイ、

エース杉田祐一の三菱電機、

そして伊藤竜馬、守屋宏樹ら層の厚さでは

ダントツのリビック。

 

この4チームの争いになるだろうと思いますが、

エキスパートワンシズオカも外国人選手を擁して

4強に食い込んでくる可能性があります。

 

最後の決戦に誰が出られるかによって

勝ち負けは左右されることでしょう。

 

混戦の男子に比べて女子は戦力差が圧倒的です。

 

現在7連覇中のリビック。

波形純里、藤原里華、江口実沙、高雄恵利加など

実績十分のトップ選手が揃っていて

誰が出ても勝てる布陣。

まず優勝は堅いだろうと思います。

 

唯一対抗できるのは島津製作所です。

大前綾希子、米村明子が絶好調なら何とかなるかも。

ただ層の厚さに差がありすぎるだけに苦しいです。

 

最後に。

 

日本リーグの選手紹介は毎年の楽しみです。

いつも工夫を凝らして各チームが面白いコメントをつけています。
 

お勧めは女子のリコー、

男子のエキスパートワンシズオカ、明治安田生命、伊勢久かな。


興味があったらご覧ください。

 

テニス日本リーグオフィシャルサイト

http://tennis-jl.jp/

 

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イスラエルとのデ杯ワールドグループ入れ替え戦は負けてしまいました。

ダブルスを落としたのは覚悟の上。

最終日、錦織を起用してエース対決には辛勝したものの、添田が勝負のかかった最終試合を落として敗退。雨による中断で流れが変わったとは言え、痛い負けでした。

ランキングの上では圧倒的に優位な上に、ホームでの開催だから負ける要素はない、と思っていたら、とんでもないことでした。

これがデ杯の怖さと言うのは簡単ですが、やはり日本チームに経験がまだまだ足りないのかなと思います。

また添田と伊藤のランキングは、ツアーレベルで勝ち取ったものではない「上げ底」だったと言わざるを得ないでしょう。

それがここ一番での敗戦につながったのですから。

厳しい結果になりましたが、まだまだ日本男子チームは黄金時代へ一歩踏み出したばかり。ワールドグループで戦う力量はなかったということ。

この敗戦を糧にしてワールドグループの常連にステップアップして欲しいものです。

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