約1ヶ月かかってダラダラと『ダリダ~あまい囁き』のあらすじと感想を書いてきた訳だが。

しつこいけど,主演女優のスヴェヴァ・アルヴィティさんがホントに美しいのよ…!!

彼女に会いたくて3度も観に行ったんだもんね,私は…!!

ところで,実物のダリダを動画で観てみると,結構がっしりした女性だと判る。

手脚が長く長身でスタイルがよいことには間違いないのだが,骨太で大柄なので,ちょっと肉がついただけでも「太った!!」と大騒ぎしてしまうのかもしれないなぁ…と思った。

演じた女優さんはどちらかといえば細っそりしており,実物のダリダに比べるとかなりなよやかで女性らしい。

映画の中でのキャラクターも,おそらくは実物はもっと負けず嫌いで女王様然とした人だったのであろうのに対し,いつも内面では孤独に震え,幸せな家庭に憧れる女性らしい人物として描かれている。

実際のダリダは歌での成功も,愛する男性も,すべてが欲しい人だったと思われるが,あれだけ世界的な成功を納め,亡き後も語り継がれるような歌姫であるからには相当にしたたかなところもあったに違いない。

いっときはミッテラン大統領との交際が一大スキャンダルになったし。

映画のダリダは,可憐で美しい姿と歌声をリュシアンに見初められてからはとんとん拍子にうまくゆき,弟をはじめとする家族が一丸となってマネージメントし彼女を支えてくれたおかげで成功した…ような感じ。

元々はイタリアからカイロにやって来た移民家族。イタリアは家族の結び付きというのがひじょうに強いお国柄だというからなぁ…と納得した。

みんなに愛されて,大切にされているのに,どうして睡眠薬自殺なんて…と胸が痛む。

「自分だけのそばにいて,ずっと自分だけを愛してくれる人」がいない…というのはそんなにつらいものだろうか。

そして,自分の関わった男性が3人も自殺したというのは確かにつらい話だが,気持に折り合いをつけて別れ,関わりのなくなった相手に自殺を考えるほど思いを馳せることなど出来るものなのだろうか…

薄情な私には理解出来ても,賛成出来ない。

あれだけ素敵な歌で世界中の人たちをハッピーにし,希望を与えてきた人なのに…

「私には誰が?」

精神科医にそう言ったときの表情がよるべない子供のようで,今でも心に残っている。

DVDの発売が待ち遠しいなあ(←3回も観たクセに)。

さて,2ヶ月毎に記録する今年観た映画の一覧でつ。

1.マノロ・ブラニク~トカゲに靴を作った少年
2.Mr.Long~ミスター・ロン(2回)
3.否定と肯定
4.彼女が目覚めるその日まで
5.勝手にふるえてろ
6.永遠のジャンゴ
7.ネリー・アルカン~愛と孤独の淵で
8.ラ・ベア~マッチョに恋して
9.ドクター・エクソシスト
10.パディントン2
11.5パーセントの奇跡~嘘から始まる素敵な人生
12.ゴースト・ブライド
13.悪女/AKUJO(2回)
14.殺人者の記憶法
15.RAW~少女のめざめ
16.ルイの9番目の人生
17.アバウト・レイ~16歳の決断
18.グレイテスト・ショーマン
19.ゆれる人魚
20.ベロニカとの記憶
21.The Beguiled ビガイルド~欲望のめざめ
22.悪魔祓い,聖なる儀式
23.ローズの秘密の頁
24.ロング・ロング・バケーション
25.しあわせの絵の具~愛を描く人モード=ルイス
26.あなたの旅立ち,綴ります
27.シェイプ・オブ・ウォーター(3回)
28.コンフィデンシャル~共助
29.ザ・キング
30.15時17分,パリ行き
31.ライオンは今夜死ぬ
32.ナチュラル・ウーマン
33.HAPPY END(2回)
34.素敵なダイナマイトスキャンダル
35.花咲くころ
36.レッド・スパロー(2回)
37.ダンガル~きっと,つよくなる(2回)
38.トレイン・ミッション
39.ベルリン・シンドローム
40.立ち去った女
41.修道士は沈黙する
42.聖なる鹿殺し
43.さよなら,僕のマンハッタン
44.リアル
45.ジュマンジ~ウェルカム・トゥ・ジャングル
46.欲望の翼
47.アンロック~陰謀のコード
48.君の名前で僕を呼んで(2回)
49.ロンドン,人生はじめます(2回)
50.アイ,トーニャ~史上最大のスキャンダル(2回)
51.女は二度決断する
52.時間回廊の殺人
53.ホース・ソルジャー
54.長江~愛の詩
55.サバービコン~仮面を被った街
56.危険な関係
57.フロリダ・プロジェクト~真夏の魔法
58.モリーズ・ゲーム
59.ピーター・ラビット
60.犬ヶ島(2回)
61.ダリダ~あまい囁き(3回)
62.ファントム・スレッド
63.ゲティ家の身代金
64.大いなる幻影
65.30年後の同窓会
66.ラッカは静かに虐殺されている
67.ビューティフル・デイ
68.恋多き女
69.ワンダー~君は太陽
70.SUKITA 刻まれたアーティストたちの一瞬
71.苦い銭
72.29歳問題
73.V.I.P.修羅の獣たち
74.告白小説,その結末
75.名もなき野良犬の輪舞
76.女と男の観覧車
77.万引き家族
78.アメリカン・アサシン

半年で,これだけ観たよ。

6月は19作品観た。んで,複数回観た作品も多し。

この調子じゃ,8月末にはドゥなることやら(笑)。
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アメリカの観衆はダリダを熱狂的な興奮でもって歓迎,ショーを大いに楽しんだ。

衣装も,ステージセットも,当時のゴージャスでハッピーでラグジュアリーなイメージをすべて再現しており,ショーのシーンは「素晴らしい!!」の一言に尽きる。

ずっと観ていたくなるくらい,楽しかったなぁ。

ビレッジ・ピープルちっくなダンサーズのお兄さんたちを従え,光り輝くばかりに美しい女王然としたダリダが歌い,踊る…

誰があのキラキラした彼女を観て,心の中では常に孤独を抱え,いつ自分がステージに立てなくなり,世間から忘れられてしまうのか怯えている…などと判るだろう。

私はこのときのディスコバージョンのダリダも物凄く好きなのだが,リシャールと別れて一人でこんなに頑張っていたのだなぁと判り,胸が痛んだ。

アメリカでのショーを大成功で終えたダリダは休暇に入るのだが,ほとんど引きこもりといっていい生活。

ルイジのときに自殺未遂をやらかしているため,長時間一人にするのが心配で,ブルーノが雇った家政婦が半分住み込みのような形で通って世話をしていた。

相変わらず食事の後の嘔吐は日常的に行っており,ベッドに寝たままぼーっとテレビを観て過ごしているダリダだったが,ある日ブルーノが映画の主演の話を決めてやって来たときは目が輝く。

中東の黒澤 明ともいうべき監督,ユーセフ・シャヒーンの作品(日本未公開)。

エジプトで撮影したその映画も大成功を納め,ダリダは故郷に凱旋する。

自分が昔住んでいた場所を廻ってみたいのだ…と言って,オープンカーでもみくちゃにされながらのパレードを行う。

そんなダリダの栄光の影で,別れてから2年後リシャールがガス自殺。

死後2週間経って,ガレージの車の中で発見される。

自分の関わった,別れた男性が死ぬのは3人目…これは相当に気の滅入る話である。

リシャールの死が引き金になったのかどうかは分からないが,ダリダは自殺を決意する。

恋を失ったり,愛した相手が死ぬ度自分で立ち直ってきた彼女だったが,もう限界だったのだろう。

ある晩,一人でレストランにいるダリダをブルーノが見つけ,一緒のテーブルに着くのだが,ダリダが,「私が編んだの。これで私を思い出してね」と言ってマフラーを渡す。

「いつも考えているよ」

そう言って嬉しそうに受け取るブルーノだが,いつも姉の自殺を心配して家政婦に見張らせている割にはここでなぜ気づかない?!…と言いたくなった。

ダリダは今度こそ死のう…と,固く決心したのである。

とりあえず最後に好きなものを食べ,自分のために人生を捧げてくれた弟にちゃんと感謝をしてから…

ミシェル(ダリダの最後の恋人となった人物。映画には登場せず)と出かける,彼は泊まってゆくから明日は起こさないでね…とメイクをし,ドレスアップしながら言って家政婦を帰す。

何とか誰にも怪しまれず,そして邪魔されずにこの世に別れを告げることが出来そうだ…といった表情で座り込むダリダ。切ないシーンだ。

一人になったダリダはしばし物思いに耽ってから,パジャマに着替えて髪をとかす。

そして,酒と共に大量の睡眠薬を服用。

「人生に耐えられない。ゆるして」

そう書き残してベッドに横たわり,永遠の眠りに就いたのである。

54歳であった。

ビジュアルと曲だけしか知らずに好きでいたダリダの生い立ちや軌跡,ステージや衣装,男性遍歴などが分かって実に有意義な映画であった。

ダリダを知らない人でも,華やかなファッションを眺めているだけで楽しめる。

ダリダの弟,ブルーノの全面協力によって出来た映画らしいが,こんなにドラマチックな人生なら確かに映画化したくなるだろうな…と納得。

最後に会うときは
私は舞台で死にたい
最後まで歌いながら
何の苦しみもいらない
指揮を執るのは私
舞台の上で死にたい
そこは私が生まれた場所だから

最後は『歌いつづけて』が流れる中,各登場人物たちの実物の写真が出てくるのだが。

ビックリしたのがリシャールの着用していた星条旗ブルゾン,実物のリシャールも着ていたこと(笑)。

あ,あんな激ダサブルゾン…実際に着ていたのか…!!

エンドロールで涙ぐみながら余韻に浸っていたのに,そこで吹き出してしまった。

一応,完。
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「死が私を選ばなかった」
「人生は続くのよ」

そう言って,失恋や悲劇をも乗り越え,美しく年齢を重ねてゆくダリダだったが,仕事面でも次々に新しいことにチャレンジ。

様々な,幅広いジャンルの歌を歌い続けてきたが,40代半ばにしてディスコブームに乗りさらに大ブレイク。

アメリカでは,バックダンサーズを従えての大掛かりなショーを行うために,『サタデーナイト・フィーバー』の振付師が彼女のダンスを特訓。

だが,多忙になればなる程,売れっ子でい続ければい続ける程,リシャールとの愛の生活がおろそかにならざるを得ず,仕事を持っているでもないリシャールは一人でヒマを持て余す。

ある晩,外出から戻った2人が門の鍵が開いていることに気づき,不審に思う。

家政婦は休みの日なので,おかしい…とダリダが言うと,血気にはやったリシャールが,ダリダが止めるのも聞かずに拳銃を手に屋敷に乗り込んでゆく。

そして,屋敷にいた侵入者を撃ってしまうのだが,それは家政婦が連れ込んでいた恋人だった。

雇い主が留守中,恋人を連れ込む家政婦ってドゥなの…?!と思ったが,さらにびっくりしたのが,リシャールが過剰防衛で逮捕され,次のシーンでは獄中の人になっていたこと。

面会に来たダリダに泣きながら,「必ず返すから,保釈金を払って出してくれ」と頼むシーンは情けなくて,何ともいえない気分になった。

寂しがりやのダリダはよせばいいのに保釈金を払い,リシャールを出してやる(犬を世話する人間も必要だろうし)のだったが,それを負い目に思ったのか,よけいにリシャールは僻みっぽいダメ男になってゆく。

完全にヒモと化し,仕事で飛び回るダリダになかなか一緒にいてもらえないため,外で女遊び。

挙げ句の果てにはそれを咎めるダリダに暴力を振るおうとする。

絵に描いたような,お約束通りの転落である。

だが,家族揃ってのニューイヤーズパーティーの席で,
「老けた大スターさんには文句も言えやしない」
などとマウンティング・クズな暴言を吐き,とうとうダリダに愛想を尽かされる。

「出て行って。この店からも,私の人生からも」

家族たちの前できっぱり別れを告げられる。

ただでさえ,この時期のダリダは自分がだんだん若くはなくなっていることを自覚し,体型維持のために食事の後はトイレで無理やり吐くようになっていたのだ。

物凄い成功を納め,栄華の絶頂にいてさえ,彼女は苦しんでいた。

太りやすくなったから…と婦人科を受診したダリダが,「もしかしたら妊娠かも」と口にした際,担当医が苦い顔で,「もう妊娠は望めません…」と答えたシーンは可哀想だった。

ルチオとの子を中絶したときに卵管を傷つけてしまったためである。

恋人なら,そんな彼女の悩みを察し,精神的な支えにだけでもなってあげよう…とリシャールは思わなかったのだろうか。

長くつき合ってきたクセに彼女のことをまるで理解しておらず,さらに追い詰めるような暴言を吐くなど,サイテーな男だと思った。

一度アメリカで歌ったときは不評(ヒッピームーブメントの時代にシャンソンが受けなかったというだけ)だったため,ディスコショーは成功するのだろうか…と一人でコンサートの前夜会場を訪れるダリダ。

充分に若く美しいというのに,彼女は一人で年齢やプレッシャーと向き合い,闘っていたのである。

続く。
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今の時代,70年代のダリダの絶頂期のパフォーマンスを動画で簡単に観られるのはありがたい限り。

だが,やはり前の記事にも書いた通り,特別歌唱力に優れていた訳ではなく,一定レベル以上のもので,歌っていた曲にもほとんどオリジナル曲はない。

だいたいが,スタンダードナンバーや他人の有名な曲ばかり。

それがどうしてあんなに出すレコードが次々大ヒットし,世界的な人気となったのか。

やはり類い稀な輝くばかりの美貌と,優雅で堂々とした立ち居振舞いが放出するセレブオーラだろう。

豪華なステージと衣装,そして堂々たるパフォーマンス,耳に心地よい歌声で観衆を夢の世界に誘った。

誰もがどこかで聴いたことのあるスタンダードナンバーをたくさん歌ったことも,売れた要因だと思う。

たとえ他人の曲を歌っているのであっても,そのときそのときの自分の心情に合ったものを歌っていたので,気持の込め方が尋常ではなく,彼女は完全に自分の曲にしていた。

実は,ダリダのオリジナルだと思い込んでいた曲がかなり多い(笑)。

ある日のホームパーティーで,ダリダは「サンジェルマン伯爵」を名乗る自称・錬金術師のリシャール・シャンフレイという男と出会う。

相当に胡散臭い感じがしたが(笑),イケメンであるというだけでその胡散臭さも「ミステリアスで奥深い」ものに感じられたのだろう,あっという間に深い仲に。

アラン・ドロンとのデュエットで有名な『パローレ・パローレ』の流れる中での愛のシーンで,リシャールが「前世から君は僕の妻だ」という台詞を口にするのだが。

「200年も私だけが相手で飽きないの?」というダリダの台詞で笑った(笑)。

しかし…大スターだというのに,ホントに彼女は恋なしでは生きられない人だったんだなぁ…と思った。

このリシャールとは10年近く,かなり長きに渡って恋人関係が続く。

恋をして私生活が充実しているときのダリダの美貌はいっそう輝き,パフォーマンスにも熱がこもるのだった。

映画の中でリシャールとの愛は,これでもかという程の見せつけぶり。

私の大好きな『ベサメ・ムーチョ』をステージで歌うシーンではテンションが上がったが,劇中ダリダはステージ袖にいるリシャールを指差しリシャールに向かってだけ歌っていて,おいおいと思った(笑)。

プライベートタイム(パグ犬をプレゼントされたときのダリダの喜ぶ顔は少女のよう)は勿論,2人でイチャイチャするところを取材で撮影されるシーンや,飛行機の中で乳繰り合う最中にスチュワーデスが飲み物を運んできて「てへへ」な表情を浮かべるシーンなど,アツアツのバカップルぶりが延々流れる。

美男美女のカップルだから微笑ましく見られるのだが,ビックリしたのがリシャールの服のセンス。

ヴァカンスに赴いた海でモーターボートに乗り込むシーンのリシャールが,アメリカ国旗の柄のブルゾンを着用していたのだが,フツーにダサくて(ていうか爆ダサ)正気の沙汰とは思えなかった。

話は逸れるが,この映画の予告編を観たときから私はアラン・ドロンも登場するかなぁ…と実は淡い期待を抱いていた。

勿論ご本人が登場する訳ないことは分かっており,ダリダとの熱愛が報道(デュエットしたというだけで)されたときのドロンの役は誰が演じるのだろう?と思ったのだ。

だが,ドロンは登場しなかった。

あんな美男子はそうそういない。

特に70年代のドロンはもう無敵なんてものじゃないくらいの美男子ぶりだったので,若かりし頃のブイブイいわせていたときの彼を演じられるような俳優などいないだろうから,よかったのかもしれない。

そんなドロンとの熱愛報道にやきもちを妬いたリシャールが飛行機の中で拗ねるのを,ダリダが必死で「ただの噂じゃないの」となだめるシーンがあったのだが。

画面の隅に,ヴィトンのバッグに入れられたパグ犬が写っていたのが可愛かった。

VIP席は犬を連れて乗ってもいいんだろうか…と素朴に思ってしまったが(笑)。

続く。お昼食べます。
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珍しく映画を観に行かない休日で,時間があるのとようやく気分がノッたので書き始める。

最近とみに仕事のストレスが半端なく,毎日家事と美容をするだけで精一杯で,とにかく録画した映画を観るかさっさと寝たい。

休みの日は休みで映画の上映時間に振り回され,3日(火)なんて,朝9時半からシアターキノ,いったん帰宅して夕方スガイで2本鑑賞…というハードなものだった。

今日は久しぶりにアラームをかけずに好きな時間まで眠って,ちまちま小腹を満たしながらブログを書こうと思う。

ルチオの子を中絶したダリダに,さらなる悲劇が起こる。

元夫で仕事でもサポートし続けてくれたリュシアン・モーリスが,拳銃自殺。

ダリダと別れた後は若い女性と再婚したリュシアンだったが,別れてみてどんなにダリダと過ごした時間が幸せだったかと心のどこかで後悔し続けており,それを紛らすためにのめり込んだギャンブルで大金を失ってしまったからである。

次々と悲しいこと,つらいことに見舞われ,それでも歌い続けるダリダ。

この悲しみを歌にこめよう…そう思ってオランピア劇場でのショーで歌うことを希望したのが『灰色の途(みち)』という曲であった。

この『灰色の途』はセルジュ・ラマという歌手の有名な曲で,交通事故で恋人を亡くし,自らも重傷を負い生死の境をさまよった後,病床で書き上げたもの。

とにかくひどく暗い歌なので,劇場の支配人は難色を示した。

だが,歌うことで自分の気持に決着をつけ立ち直ろうとしている姉の希望を何とか叶えてあげたいブルーノが,金の力に物を言わせて支配人に承知させた。



もう夢は見ない
タバコも吸わない
語る話さえもう持ってはいない
あなたがいないと私は汚れている
あなたがいないと私は醜い

修道院の大部屋に収容された孤児のように
自分の人生を生きたいとはもう思わない
あなたが去ってしまえば私の人生は終わる
私にはもう人生がない
私のベッドさえ駅のプラットホームに変わる
あなたが行ってしまえば

私は病気なの
完全に病んでいるの



この歌のシーンはまさに「絶唱」。

「私は病んでいるの」「完全に病んでいるの」のリフレインには鬼気迫るものを感じた。

だが,悲しみと苦しみがすべて歌に込められ,観衆は感動の余り総立ちで喝采するのだった。

『灰色の途』は本当に悲しい歌だが,美しい曲でもある。

一度耳にしたら忘れられない曲だ。

続く。
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